【レビュー】Jay Prince『BeFor Our Time』


Jay Princeの最新アルバム『BeFor Our Time』があまりに素晴らしく、毎日聴いています。最近のヒップホップが持つ、非スクエアなリズム、ローファイ、メロディアスなラップ、遅いBPM、メロウな音使い、パッド音などを詰め込んだ本作は、非常に聴きやすい。オーヴァーグラウンドからアンダーグラウンドまで、どんな人にでも薦められるヒップホップでした。
そして、なぜかフリーで配信してるのが一番ビックリ。
BeFor Our Time | Jay Prince

Jay Princeとは?

そもそも、Jay Princeとはどのようなアーティストなのでしょうか。上記のbandcampを自分なりに翻訳すると、

Jay Prince is a Hip Hop recording artist and music producer from East London. His style of music has been described as a chilled and mellow nostalgic vibe, with influences of 90’s US Hip Hop and todays Hip Hop, Jay brings a combination of complex poetic lyrics and flow to his music.

ジェイ・プリンスは、イースト・ロンドン出身のヒップホップ系アーティスト、音楽プロデューサーです。彼の音楽は、90年代のUSヒップホップや最新のヒップホップから影響を受けており、詩的な歌詞とフロウによって生み出させる楽曲は「リラックスした(chilled)」、「甘美な(mellow)」、「郷愁的な感情(nostalgic vibe)」と形容されています。

イースト・ロンドンというのは、単純にロンドンの東側ってことでいいんですかね。下のサイトのような。
12年間イーストロンドンのリアルを撮影してきた男 | VICE Japan | The Definitive Guide to Enlightening Information

ちなみに、後述の引用で明らかになりますが、ジェイ・プリンスは1993年生まれの21歳。いわゆる「注目株」ですね。

『BeFor Out Time』について

SoundCloudに彼のコメントが載っていました。かなり曖昧ですが、翻訳してみると…、

Be For:

There are two definitions to this EP, the first being literally being “for our time”. In the current era of musicians, like myself from London, people tend crave and look to the states for answers and are quick to criticise the music from our own home. Some may disagree – but I speak from experience. This EP is the project that demonstrates there is hope where we’re from and where I’ve come from and we should unite in that. We all have a story to tell. This project is about Truth, Love and Passion.

Before:

The second meaning of this project is its nostalgic presence. This being a story telling project, it is filled with reflecting on situations and life experiences. The whole theme sonically is driven by reminiscence; I wanted to bring the same feeling or something close to the feeling, you felt when Hip Hop was at its peak of greatness and what is said actually meant something. I was born in 1993, and with this project I wanted to give people that same feeling of when music and Hip Hop was appreciated and respected by the masses in the 90’s, and bring that feeling back to my home city and the world.

BeFor Our Time, For The People.

このアルバムには2つの意味があって、ひとつは文字通り「僕たちの時代のために」。音楽家のいまの時代は、ロンドンから来た僕のように、人々は答えの代わりに国(states)を切望したり目を向けたりして、地元発の音楽をすぐに批判しようとする。同意しない人もいるだろうが、僕は自分の経験をもとに話そう。このEPは僕たちの地元や僕たちが結成しているグループに希望があることを証明するプロジェクトだ。僕たちはみんな伝えたいことがある。だからこれは、真実について、愛について、情熱についてのプロジェクトだ。

2つ目の意味は、ノスタルジックな存在感だ(訳注:“Before Our Time”=「僕たちの時代の前」)。これは物語の計画で、当時の状況や人生経験の回顧で満たされている。音質的なテーマは、回顧によって突き動かされた。僕は同じないしはそれに近い感情を生み出すことで、リスナーはヒップホップが素晴らしさのピークを迎えた頃や、本当に何らかの意味をもって言われていたことが何かを感じてほしかった。僕は1993年生まれで、このプロジェクトで僕は人々に90年代に音楽やヒップホップが出現して大衆にリスペクトされていた頃と同じような感情を伝えたかった。自分の故郷や世界に戻ってきたいような感情を届けたかった。

直訳が続いて読みづらいことをお詫びしますが(笑)、個人史における「現代」と「過去」を繋ぐような試みでしょうか。「Polaroids」「1993」あたりは、そういったニュアンスがなんとなく伝わってくるような気もします。

難しいことは省いて音源だけでコメントすると、1曲目「Yoko」の5連符を感じさせるヨレたビートは現代的で素晴らしいですし、3曲目「Polaroids」のフックのメロウ具合はシビれます。そして、何より全曲ラップが上手い!韻の踏み方も気持ちよくて真似たくなる。

Polaroids

アングラをもっと掘ろう

ちなみに、Jay Princeのことを調べていたら、下のサイトに辿り着きまして、今更ながら「アングラやべーなー」みたいになっています。
Sampling-LoveのBlog – 最近聴いて良かったフリー&NYP作品を7つ SoulEtiquette、Hodgy Beats、Kali Uchisなど

ルーペちゃんのアルバムも結構良かったし(これもレビュー書きたいんですが、なんせ英語記事が多くてどのレビューが面白いのかもわからない!)、2015年のヒップホップは豊作になりそうな予感です。