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なでしこジャパンの応援に追われる中、男子代表もいよいよW杯予選が始まります。今回のイラク戦は、シンガポール戦に向けての調整でしたが、

本田だ!岡崎だ!イラクに4発快勝!16日W杯予選へ弾み(スポニチアネックス) -Yahoo!ニュース

【日本 対 イラク】サッカーダイジェスト取材記者の採点&寸評(SOCCER DIGEST Web) -Yahoo!ニュース ということで、「もしかして興行の一種?」と思うぐらいの快勝ぶりでした。

マン・オブ・ザ・マッチ、つまりMOF(女子サッカーの場合はWOFになるんですかね。それとも”man”っていうのは人類的な意味合いなのだろうか)が7番の柴崎であることは間違いないと思うんですが、今回はなぜ柴崎がそれほど活躍できたのかを考えてみました。

1点目。一瞬のスキを突いたパス

上の動画はゴールシーンのハイライト映像です。下の動画はフルです。


1点目は柴崎のアシストから本田が決めましたが、このシーンを見返すと「柴崎選手、ものすごいなー」と言わざるを得ません。

柴崎がパスを出す前ですが、まず長友と相手WGの競り合いから柴崎にボールが収まります。このとき、柴咲の前にいる相手ボランチが寄せきっておらず、柴崎はフリーでボールを持てました。

この間なんですが、 柴崎は「長友が競り勝つ瞬間」から「ボールが足元に来た瞬間」の間で一度前を見ているんです。 おそらく、この一瞬で相手のディフェンスラインを確認しています。そして、「ボールが足元に来た瞬間」のあと、すぐさま本田の位置を確認してパスを出しました。

つまり、パスを出すまでに2回前線を見ているわけです。仮にですが、もし相手ボランチがもっと寄せていたとして2回目の確認が出来なかったとしても、とりあえず岡崎へはパスを出せたはずです。(本田をチェックしたのは2回目の確認に見えます)。

なぜ、柴崎はフリーだったのか?

この後も柴崎の良いプレーは続きますが、ほとんどのプレーはその 「視野の広さ」 でした。「遠藤の後継者」と言われるのも納得です。でも、これだけやられているんだったら、何故イラクはこれを封じなかったんでしょうか。

柴崎のポジショニングが良かったことは勿論ですが、これはイラクのディフェンスがマズかったことも原因だと思います。というか、 相手の21番がユルユルでした。 スクリーンショット 2015-06-12 2.48.04

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上のシーンは、14分45秒あたりで、吉田がボールを持つところから始まります。吉田に相手CFがプレスをかけますが、長谷部が降りてきてフォローに入ります。これに相手トップ下が反応するわけですが、このとき21番のボランチも反応して前に出てくるんです。21番はそのあとトップ下に任せて下がるんですが、残念、すでにボールは柴崎に通されてしまいました。

ちなみに、柴崎が入ったあとは、すでに走りだしていた本田と岡崎にパスを通して、2人のコンビで突破したのですが、バーに弾かれてしまいました。個人的にはこの攻撃が一番良かったと思います。

柴崎は、この攻撃の他にも、イラクがリトリートしてブロックを作れば後ろに下がったり、ブロックの中に侵入してみたり、パスを出すかと見せかけてドリブルで持ち込んでシュートしてみたり、今回好きなように動いていました。

ちなみに、件のプレーですが、8番のボランチは柴崎も視界に入れて警戒していました。しかし、同時に香川もチェックしていて、その香川が長谷部のほうに降りてきたことに反応したせいで柴崎にボールが通りました。そういう意味では、香川のオフ・ザ・ボールの動きがこのチャンスに結びついたとも言えます。

正直、香川という選手って「メンタル弱い」みたいなところで評価してしまっているのですが、こういう動きが世界から認められている証なのかもしれない、と思いました。

とうとうイラクのディフェンスが崩壊する

そして、26分になると、とうとうイラクのディフェンスが崩壊しました。

日本代表_vs_イラク代表__キリンチャレンジカップ2015____サッカー動画速報_-_Part_2 ボールを持っているのは槙野です。槙野がドリブルでここまで上がってきました。このとき、柴崎がどフリーなんです。

で、槙野からいくつかパスが繋がれて柴崎のもとに渡るんですが、 日本代表_vs_イラク代表__キリンチャレンジカップ2015____サッカー動画速報_-_Part_22 まだ柴崎はフリーのまま。ここから香川にフィードが渡ります。

このシーン、なんで誰も柴崎にマークがつかないのかを考えると、おそらく2つあって、(1)8番は香川をマンマークしてたことと、(2)であるなら21番が柴崎を見るべきなのだが_21番はボールのあるほうに近づく性質がある_ 、ということで、(2)が致命的なんだと思います(笑)。

今回は4−2−3−1のミラーマッチなので、トップ下とボランチの1人が相手のダブルボランチを見ないといけないと思うのですが、これができていませんでした。これが結論です。相手のコンディション不良もあると思いますが、イラクの決まり事に問題があったのだと判断しました。

ちなみに、(1)のトップ下が片方のボランチからのマンマークを利用して動かす作戦は、4−2−3ー1のミラーマッチ(?)では基本的な戦術のようです。

今シーズンのジュビロ磐田研究~4231の色々~ -pal-9999の日記

日本の守備の場合

後半に入ると、21番は柴崎を ちょっと 注意深く見るようになり、日本の攻撃はちょっと落ち着きました。柴崎をマークできたというよりは、日本の前線が良くなかったように見えましたが・・。

ちなみに、ミラーマッチなら、日本の守備だって同じようなピンチを迎える可能性はあります。では実際にどうだったかを確認してみました。

まず、イラクの攻撃は両サイドへのロングボールがほとんどでした。セカンドボールが拾えなかったので、チャンスらしいチャンスもありませんでした(本田が左SBのオーバーラップを無視したことによるピンチが一度ありましたが)。

それで、ショートパスで繋いできたときはどうだったか。これはトップ下(香川・原口)と柴崎が相手のダブルボランチをマークしていました。これを崩す攻撃が見たかったのですが、そのシーンはありませんでした(苦笑)。

まとめ。ハリルホジッチの「縦に速い攻撃」

というわけで、柴崎を褒め称えつつも、イラクの21番をミソッカスに言うようなエントリになってしまいました。

現代サッカーは、「前線、攻撃的MF、守備的MF、ディフェンスライン」の4つの列があります。そして、ハリルホジッチの言う「縦に速い攻撃」というのは、バカ正直に考えれば、「1つでも前の列にボールを送る 」ことです。ということは、パスの出し手として最も重要になるのは3列目にあたる守備的MF、最後列にあたりディフェンスラインになります。

そういう意味で、今回の柴崎の活躍はハリルジャパンにとって非常にポジティブな材料になったのではないでしょうか。もっと厳しいディフェンスをするチームとの対決も見てみたいです。


    Kobori Akira

    IT業界の社会人。最近はプロレスと音楽の話題が多め。
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