鶴見俊輔『文章心得帖』〜わかりやすそうな<紋切型>の罠

プロのライターがガチで選んだ、文章がうまくなりたい人が読むべきスゴ本10冊|Career Supli」に触発されて、紹介されている本をかたっぱしから読んでいる。この本もその中のひとつ。

『文章心得帖』は、哲学者・評論家・政治運動家(Wikiより)の鶴見俊輔が、講座で話したときの記録だ。

著者の考えが一方的に語られるのではなく、参加者が提出した短文とそれに対するコメントが挟まっているので、理論と実践のバランスがよく読みやすかった。


この本で、何度も伝えられていることがある。それは「<紋切型>な言葉をつきくずす」ということだ。

<紋切型>な言葉というのは、自分の身体の中にキチンと収まっていない、他人行儀な言葉のようなものを指している。

著者は例として、当時の学生の論文の書き出しに「戦後強くなったのは女と靴下である」が多かったことを指摘している。この言い回しは、論文を書いた本人が生み出した言葉ではない。このような罠に注意しなさいよ、と本書はバカの一つ覚えのように唱えている。当然、「バカの一つ覚えのように」も紋切型だ。

紋切型の危険なところは、パッと読むぶんには全く問題ないところだ。というか、むしろ紋切型で書かれているのほうがライターも読者も「なんとなく」読み進めてしまう。

良い文を書くには、この「なんか分かるかも」を避ける必要がある。読むときにも意識すべきことかもしれない。

筆者は、「自分で考えて生み出した言葉で文章を書きなさい」と筆者は伝えているのだ。

ちなみにこの考え方、以前書いた「「話せば分かる」のか?―デイヴィドソンの<解釈>と<生きたメタファー>―」の<生きたメタファー>に近い。

結局、言葉と真摯に向き合い続けることが、良い文を書く鉄則なのかもしれない。あ、また紋切型が。

目次

  1. 文章を書くための第一歩
    1. 紋切型の言葉について
    2. 三つの条件
    3. 「書評」の書き方
    4. 情報量の少ない文章
    5. 自分らしい本の読み方
  2. 見聞から始めて
    1. 原体験と体験の違い
    2. いい文章の目安
    3. 結びの文章を工夫する
  3. 目論見をつくるところから
    1. 文章を書くことは選ぶこと
    2. 本のタイトルと目次
    3. 目論見の成功と失敗
  4. 文章には二つの理想がある
    1. はじめての文体の魅力
    2. 過度な簡潔さが基準

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コボリアキラ / kobori akira

ラッパー、トラックメイカー、DJ。
1989年1月6日の「最後の昭和生まれ、最初の平成生まれ」。

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