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女子W杯決勝トーナメント、アメリカとの決勝戦。日本は 2−5 で負けてしまいました。

これほど「たられば」の多い試合は無いんじゃないか、というような展開で、「3,4失点目がなければ」とか「2点目を入れた後の失点がなければ」とか「菅澤のヘッドが良いところに決まっていれば」とか、色々と妄想してしまいました。とはいえ、準優勝は凄い結果です。今年はアメリカが強すぎました。

面白い場面は少なかったのですが、一応記録としてエントリを書いておこうと思います。

アメリカの攻撃、デザインされたセットプレー

まず全体的な印象として、アメリカのほうが日本より良いプレーを続けていました。いわゆる「球際の強さ」や、とくに日本のプレスに対しての落ち着いたプレーなど、1対1においてアメリカの選手は日本の選手より良いプレーをしたと思います。

それで、今回の試合はまさかの セットプレーで3失点 ということで、あらためてセットプレーの怖さを思い知らされました。たとえば、よく言われることで「現代サッカーの得点の3割はセットプレー」という話があります。

現代サッカーの得点は、セットプレーが30%、カウンターアタックが30%、ミスやアクシデント絡みが20%で、チームのスタイルを発揮したものは20%と、曹は分類している。
“湘南スタイル”でのゴールは2割弱!?スタイルに酔わない曹貴裁と選手達。(2/3) [JリーグPRESS] - Number Web -
ナンバー

また、「セットプレーの重要性。再考 | いいとこ取り! | スポーツナビ+」という記事では、

セットプレーがいかに「デザインしやすい(計画的に行いやすい)プレー」であるか を説明しています。普通のシュートは「常に動いている状態」だから様々な状況が関連するためデータとして処理するのが困難だが、セットプレー(とくにCK)は「ある場所に止まった状態」だからデータも扱いやすい。データとして処理できれば、より確率の高いプレーを計画して行動に起こすことができる。

まさしく今回のセットプレーからの失点は、すべてデザインされたものでした。「アメリカはNFLの国だ。だからデザインされたプレー(セットプレー)と親和性があるのだ」とか言いたくなりますね。

神出鬼没のロイド

1,2失点目は、どちらもロイドに決められました。1失点目は「グラウンダーのボールに、マークのついていないロイドが走り込んでそのまま決める」、2点目は「グラウンダーのボールをニアにいる選手が弾いたところを、後ろから上がってきたロイドが決める」というパターンです。どちらも、

ロイドがマークのつかない場所から走りこんできました。 日本のディフェンスは一歩遅れてしまいました。

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これが1失点目。日本は10人全員が下がって守っていたのですが、ペナルティエリア外から走りこんできたロイドには対応できませんでした。2失点目もほぼ同様。ニアサイドで競わせた後のこぼれ球をロイドに決められてしまいました。

p3 p4 ちなみにどちらの場面でも、ロイドをチェックしていたのは岩清水でした。

岩清水は「立ち上がりの失点は自分のせいで、チームに申し訳ない。ロイドが来るのは分かっていたのに、予想以上のスピードだった」と目を赤くした。
岩清水が大泣き「立ち上がりの失点は自分のせい」 - 日本代表 :
日刊スポーツ

3失点目は自身のクリアミスが原因だったことを含め、彼女の気持ちを想像すると非常に辛いです。

リオ五輪に向けて

という感じで、セットプレーでガッツリやられてしまった決勝でした。しかし、試合の反省点や今後の方向性は「セットプレーを直そう」ではないとも感じました。

というのも、このW杯を見て思ったのは、なでしこジャパンがドイツ大会で見せたようなパスサッカーをどこを国も取り入れようとしていて、

もはやパスサッカーは日本だけの武器ではなくなった 、ということでした。たとえば、自分が印象的だったのが前半23分のシーンです。

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日本のディフェンスが完全に無効化されていた一連のプレーで、とても良かったと思います。日本のプレスがかかっても、それをきっちり回避しながらパスを繋げる。優勝にふさわしいチームのプレーでした。

そういう意味では、 「高い個人技を持ったまま組織力を身につけたアメリカ」にどうすれば対抗できるんだろうか? という悩みが顕在化した試合でした。日本の選手一人一人のレベルアップ、ないしはさらなる組織力の向上。なでしこがこれからどのように成長すべきなのか、答えは一つではないにせよ、何か対策を立てないとマズいことはわかりました。

一度はなでしこリーグも行ってみようか

ただ、その「対策」について、「また4年後の優勝目指して頑張ってくれ!」では済まない、ということも明らかになっています。それは、ちょうど決勝あたりから話題になっている選手たちの待遇です。

なでしこたちの「待遇」は4年前より良くなったか|SPORTSセカンド・オピニオン|ダイヤモンド・オンライン」では、代表選手でもサッカーだけに集中できているのは少ないことが書かれています。そういう意味では、強化のための最初のステップはやっぱり「国内リーグの活性化」なのかもしれません。

週末から、なでしこリーグも再開するようで、東京がホームの「日テレ・ベレーザ」には、今大会で大活躍した有吉や、一番悔しい思いをした岩清水、あとボンバーヘッドの元代表・荒川もいます(笑)。今シーズンは一度ぐらい現地で観戦して、お金を落とそうかなと思います。

とりあえず、ものすごい楽しませてもらいました。 お疲れ様なでしこ!


    Kobori Akira

    IT業界の社会人。最近はプロレスと音楽の話題が多め。
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