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女子W杯決勝トーナメント、日本はオランダに2−1で勝ちました。攻め込まれるシーンも、GK海堀のミスもありましたが、宮間が「オランダが日本の良さを消してくるサッカーじゃなく、オランダらしいサッカーをしてきたことで、戦い方としては分かりやすかった」と発言しているように、総じて安心して見られる試合でした。

オランダ戦のレビュー

基本的には、プレビュー記事で書いたことと同様です。ただ、オランダが意外に守備していたことと、とくに大野がFWとして良い働きをしていた(DFラインと中盤の間でボールを受けるプレーが良かった)ことは想定外でした。

また、2点目のゴールの起点になった、チーム全体のプレスと阪口の勇気あるプレスからのシュートは鳥肌モノでした。このW杯を通して、一番綺麗なゴールになるかもしれません。

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前半はオランダのアンカーの位置にいた選手(最終ラインのフォローに入った選手)がフリーになることが多かったのですが、後半では阪口がこれをマークするようになりました。2点目はそのおかげです。ちなみに、もしこのプレスを回避されると、

3 4 こんな感じで前線に送られることもありました。あとは、GKを経由して回避されたりもしていました。

5 6 7 ちょっと試合のレビューから外れてしまっているんですが、このあたりの駆け引きが面白かったです。

オーストラリアの攻撃について

次戦はオーストラリアとやることになります。去年の女子アジアカップで決勝を戦った相手なので、互いに互いを知り尽くしている中での試合になりそうです。これまでのハイライト動画を載せておきます。

アメリカ戦

ナイジェリア戦

スウェーデン戦

ブラジル戦

ブラジル戦はフルで見たのですが、正直に言って、オーストラリアは相当いいチームだと思います。組織的な動きができますし、SBのオーバーラップも積極的ですし、ショートカウンターもポゼッションサッカーもできる。しかも運動量も多い。言うなれば、

なでしこと似ています。 攻撃時には、両SBが1列上がり、ボランチ1人とトップ下がそれぞれ1列下がった3−4−3または3−4−2−1のようになるように、流行をしっかり追ったサッカーをやってきます。

テレビでも「要注意人物」として挙げられている11番のデバンナですが、スピードも決定力もありますが、中に入ってサイドにパスを出すようなポストプレーもできます。鮫島様はまた大変な人とマッチアップすることになりました。

そして、オランダと違って脅威なのが、最終ラインからのフィードです。スウェーデン戦の得点は、右CBからデバンナに直接通って決まりました。ブラジル戦では、左CBも良いパスを前線に出していましたし、左SBも組み立てができるような印象を受けました。右SBはクロスの精度が良いように見えましたし、どこからでもクリティカルなパスが放り込まれてきそうな感じでした。

試合の見所は「スタミナ勝負」と「GK」か

というわけで、これまでの試合の中では最も厳しい相手です。「なかなか手強いな」というような印象ではなく、こちらがチャレンジャーとして勝負したほうがいいです。

また、日本にとってネガティブな要素として、次の試合まで中3日の日本に対してオーストラリアは中5日と、試合日程でも分の悪い状況があります。

というのは、なでしこジャパンもオーストラリアも、きわめて運動量の多いサッカーをやっています。たとえば、今回のオランダ戦。攻撃のチャンスを作れたのは、SBがオーバーラップを仕掛けたからです。反対にオランダの攻撃を防げたのはSHがプレスバックしてSBと一緒にオランダのWGを捕まえたからです。そして、こういう戦術を実行するには、当然ながら長い距離をスプリントすることが必要になります。

オランダ戦は1週間ほど空けて試合に臨めたので、良いコンディションで90分間を戦うことができましたが、オーストラリア戦では後半で足が止まるようなことも予想されます。「勝ちたいという気持ち」だけではフルに走りきることはできません。

なので、佐々木監督の交代策はこの試合のポイントの一つになるでしょう。たとえば、川澄または大野あたりは交代を前提としたうえで60分間ほど全力で走り続けてもらうなど、「スタミナ切れ」で負けないように工夫をする必要があると思います。そうでないと、いつかサイドで負け始めるはずです。

それと、どんな試合でも言えますが、オーストラリア戦以降はGKの働きの重要性がより大きくなります。これは最近自分の中で流行っているだけなんですが、結局のところサッカーはゴールさえ割らなければ負けないスポーツです。となると、GKって想像以上に重要なポジションです。「続、サッカーにおけるGKの話-pal-9999のサッカーレポート」みたいな話もありますし。

実際、ブラジル戦でオーストラリアがゴールできたのは、ブラジルのGKがミスをしたからです。キャッチするなら絶対にキャッチしないといけないが、できずにこぼしてしまったのがゴールに直結しました。今回の活躍を見るかぎり、おそらくオーストラリア戦のGKも海堀になると思いますが、「頼む!」って感じでしょうか。

予想スタメンを考える

ついでですから、GKだけじゃなくて、オーストラリア戦の予想スタメンも考えてみます。悩みどころは「サイドの配置」です。

オーストラリア戦ではお互いに守備をよくするので、たとえば日本のSBがオーバーラップすればマッチアップするオーストラリアのSHはそれに合わせて自陣まで引き返すはずです(オランダ戦はそれが無いから、サイドのスペースを有効に使えた)。自陣まで引き返してくれれば、カウンターを仕掛けようにもスピーディーにはできません。つまり、SBの攻撃参加というのは守備的なメリットも生み出してくれます。

これはお互いに仕掛けてくるはずです。となると、サイドには運動量の多い選手が欲しくなり、左SHには鮫島様を入れるべきかなという判断になりました。なので、自然と宮間がボランチの位置につきます。

残りは全部いつも通りです。というわけで、下のようになります(オーストラリアはブラジル戦のものをママ採用)。もしかしたら、阪口に変わって澤が先発するかもしれません。この日のために澤を温存していたとしたら、佐々木監督は策士です。

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繰り返しになりますが、3つの交代枠が重要です。岩渕は守備もこなせていたし、必ず出番はあると思います。キープ力のある澤が出場していれば、川村も守備固めとして活躍してくれると思っています。

今回の2つのゴールを見る限り、だんだんと調子の上がっているなでしこジャパン。試合を見るたびに色々と勉強できますし、オーストラリア戦も勝って、ひとつでも多く試合を見れることを願います。


    Kobori Akira

    IT業界の社会人。最近はプロレスと音楽の話題が多め。
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