レコメン度:★★★☆☆
miwa『ONENESS』は、一部のファンだけが楽しむには、ちょっともったいないアルバムです。
全体的に軽さはある。しかし…
「音楽好きあるある」として、TSUTAYA渋谷店がレンタル半額を行う度に50枚ちかくアルバムを借りる、というのがあります。
ご多分に漏れず、コボリも同じタイプでして、前回のレンタルではmiwaを入れていました。何を隠そう、 「Faraway」 がものすごい好きだったんです。
(ギターがmiwaを弾いてもいいぐらいの、同じサイズ感。) 前作の3rdアルバム 『Delight』 もちょっと良かったんですよね。miwa自身、このアルバムに収録されている 「ヒカリへ」 で売れました。渋谷の複合商業施設がオープンした頃の曲です(関係ないけど)。 (ルックスで勝負しやがって!)
そんなmiwaさんの音楽が持っている一番の魅力は、 「シンガーソングライター」でありながら「品のある雑食性」や「適度な拘りのなさ」を持っている ところです。
たとえば、miwaの曲はギターやバンドの音だけで作られているものは少なく、打ち込みも多く入っています。また、「シンガーソングライター」でありつつも、『ONENESS』の作曲は_Naoki-T_ (※1)との曲作である場合がほとんどです。さらには、今や当たり前ですが、ボーカル補正もガッツリあります。
これらを悪い見方から批評すれば、「ロック感が無い」とか「シンガーソングライターとしての矜持が感じられない」となります。また、「打ち込み(≒EDM)として物足りない」という感想もあるでしょう。
しかし、本作『ONENESS』ではそれらが全て 「ポップで素晴らしい!」 の一言に集約されます。 (※1)Naoki-Tは、ケツメイシの『さくら』以降のアレンジや、FUNKY MONKEY BABYSのアレンジを手がけているトラックメイカーです。って聞くと、「ああなるほどねー」というお友達もいるはず。この人、とにかく夏の曲が上手い!(笑)
ボーカルの「弱さ」を引き立てる中低域の使い方に脱帽
しかし、何故「ポップ」だと感じるのでしょうか。それはmiwa自身のボーカルの 「弱さ」 にある、とコボリは考えています。
miwaのファンクラブは「yaneura-no-neko」と言うらしい。憎さ余って可愛さ百倍。
控えめに言って、miwaは声量のある力強いボーカルでは全くありません。反対に、少しでも風が吹いたらかき消されてしまいそうな声です。正直、ファーストインプレッションは笑ったのを覚えています。
しかし、欠点もあるけれど旨みのある食材であれば、大事なのはどう料理するかです。この点で、Naoki-Tは素晴らしい料理人でした。miwaの「可愛さ」や「誠実さ/真っ直ぐさ(miwaはビブラートをあまり強くかけません)」がちゃんと分かるようなプロデュースをしました。
とくに関心したのは、 中低域(ここでは300〜700kHzあたり)の音の使い方 です。この音域は、「パワー」とか「力強さ」みたいな印象に関わり、人間の声はこの音域をたくさん含んでいます。
たとえば想像上のロック音楽は、この音域に全部の楽器が入っていてパワーを生み出すような印象があります。たまに膨張して聴きづらいときもあるほどです。
で、miwaの音楽は、 この音域を出来る限りボーカルに割いている ように聴こえるんです。他の楽器がこのスペースに入ったら、miwaの声の良さはすぐに消えてしまうから。
逆に言うと、ボーカル以外は中低域を削ることになるので、それがmiwaの音楽につきまとう「軽さ」の原因でもあると思います。たとえば、ラッパの音を生音にしたら、ラッパがmiwaに勝つ可能性があります。それならシンセでやったほうが正解です。
そうして全面に出てきたmiwaのボーカルが、楽曲を、アルバム全体を、ポップに華やぐものにしているのだと感じました。
けっきょく、可愛い。
という感じで、意外とmiwaが良いよ、という話でした。ちなみに、『ONENESS』の推し曲は「Faraway」や「恋の予感」。アルバム曲で言うと、「フィロソフィー」、「super heroine」です。 とくに「super heroine」は、 曲こそ退屈 ですが、安室ちゃんの「Baby Don’t Cry」に近いような感動がありました。アイドル的扱いを受けつつも、こういう曲を書けるmiwaさんが好きです。 あと、飯窪さんに似てて可愛い。
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