やっと、少しですが、落ち着いて語れるようになりました。 先週の土曜日、w-inds.の最新ツアー「Blue Blood」を観に行きました。これがあまりにヤバかったので、できるかぎりレポートしておきます。 先に言っておくと、少しでもw-inds.に興味が湧いている/湧いた人は、絶対に観に行ったほうがいいです。いきなりネガティブですが、こんなショーはそうそう無いです。本当に旨い食事を食べたときの、「ああ、これからこのシェフに対するハードルが上がるのか」というポジティブな悲観と言えるでしょうか。そんな感情になりました。
完成されたショー
まず、全てを見終わったあとに感じたのが 「ああ、これはショーなんだ」 ということでした。 とはいえ、ライブとショーの違いってなんだよ?
って話ですよね。自分なりに違いを説明しますと、
文字通りライブは「生」を楽しむ、能動的・積極的な関わりがメインなもの。一方で、ショーは「見せ物」の通り、提示されたものを受動的に楽しむもの、だと考えています。
つまり、 ライブは「楽しんだモン勝ち」 、 ショーは「楽しませてもらったモン勝ち」 、というと伝わるでしょうか。騒いで楽しいのがライブ、騒がずとも楽しいのがショー、みたいな感覚です。 今回のw-inds.のツアーは、上のような意味で、まさしくショーでした。ワーキャー騒ぐのがちょっと苦手なファンの人も、しっかりと堪能できたのではないでしょうか(と言いつつ、お客の中で一番騒いだのは私です・笑・MCのときは静かにしてました。ここが勝負所のファンもいらっしゃるでしょうから)。
これは、 w-inds.がいよいよ「大人」のステージに移行した ことも意味していると思います。もし今回のツアーがシッティングだったら、ディナーショーとしても十分に機能します。ぶっちゃけ、今回のツアー、シャンパン飲みたくなる瞬間ばかりでした(笑・ビールでも良いですけど。琥珀かな?)。
ある意味では、ちょっとだけ遠くに行ってしまったように感じた既存のファンもいるかもしれません。それぐらい、今回のツアーは「大人」だったと思います。
反対に、これは一方的な妄想ですが、MCがいつも以上にグダグダだったこと。アンコールが「Top of the world」というヒップホップのくくりの中でもかなりアイドル寄りの曲を歌ったこと。これらは、彼らの絶妙なバランス感覚であり、無意識的な反抗であると言えると思います。
そういう意味で、「もはやアイドルじゃない」とか「アイドルを越えた」などと言われ続けていた彼らは、このツアーで答えを出したようにも見えました。
永遠に踊り続けられた。バラードですら。
今回、一番驚いたのはここでした。私が何年も「いつか来るぞ、いつか…」と思いながら見続けたましたが、ついに最高の瞬間に出会えました。 それは、
今回演奏した曲が全て踊れたことです。 えー、すっごい単純です(笑)。 TIMELESSツアーも要素としては悪くありませんでしたが、今回のBlue Bloodツアーはまさに完成形。完璧でした。選曲も申し分ありませんし、何より曲と曲の繋ぎ方が素晴らしかったです。
セットリストを友人のサイト、「【全部ネタバレ】w-inds. LIVE TOUR 2015”Blue Blood”1万字レポという名の感想」から確認してみました(自分より圧倒的に長い!)。このセトリを見るだけで興奮が戻りますね。
たとえば序盤。「Beyond The Blue World」、そしてアップテンポな曲の中では遅めの「Million Dollar Girl」から始まり、ジワジワとBPMを上げて、「Midnight Venus」までアゲていきます。この少しずつテンポを上げていく感覚、よくわかります。
曲間の処理も丁寧に考えられていて、「ブギウギ66」で盛り上がったところに「Midnight Venus」のイントロが混じってきたときは、「そんなにいっぺんに食えないよ〜(笑)」みたいな、本当に贅沢だっと思います。 「134」と「I’m all yours」では、シティポップ寄りの曲で、こういうのが好きな人には序盤以上に盛り上がれたはずです(私のことですが)。
そしてもうひとつ良かったのは、前回もそうでしたが、いわゆるバラード曲でも踊りの要素があったことでした。 CANDLE LIGHTはその好例で、1番のAメロは静かにいきますが、サビからはビートが鳴り始め、これはきちんと踊れるリズムでした。 これまでのライブは、必ず_「止まる」_ 瞬間がありました。
車で例えれば、これまでのライブは160km/hぐらいでビュンビュン飛ばして気持ち良いけれども、どこかでブレーキがかかって、またどこかで最高速に達する、みたいな感じでした。
しかし、今回のツアーは最高速こそ130km/hぐらいかもしれませんが、かわりにずっと心地よく助手席に乗れていたようなニュアンスです。
この点も、「ライブ」ならぬ「ショー」だよなあ、と思った理由です。
全ての曲がフラットになった瞬間
最後に、上述したことと被るかもしれませんが、これが一番大事かもしれません。 それは、過去曲の扱いです。この点があって、今回は最高のツアーになりました。
決して「やってほしい曲をやってくれたから最高!」ってだけではありません(たとえば「Spinning Around」とか演ってもよかったんですよ・笑)。
過去曲の扱われ方がBlue Bloodのテーマに沿ったもの であったから、今回のショーは素晴らしかったんです。 そして、それはこれまでのw-inds.の歩みに無駄なものが無かったことを表しています。 過去の曲は、Blue Bloodの布石として、現代の彼らを表す曲として、機能していました 。
個人史で失礼しますが、私が追い始めたのが「HYBRID DREAM」の2007年。このあとEDM期に突入する訳ですが、その前もその後も、彼らの音楽からヒップホップやR&B;が消えることはありませんでした。
それが、今回のショーでついに表舞台に帰ってきた。で、それにファンも呼応して楽しんでる。そのことに強い感動がありました。
おそらく、彼らはこれからも過去の曲を歌うでしょう。歌うことによって、彼らの音楽に流れる血(まさに血、です)が過去から現代まで脈々とつながっていることを、これからも証明し続けるはずです。
まだ興奮が止みませんが(笑)、とにかく、今回のショーは本当に素晴らしかったです。ラッキーパンチなどては決してなく、通常攻撃であることを信じています。
アルバムの感想同様、気が早いですが次のツアーが本当に楽しみです。「次こそSpinning Around演る」に2万点! では。