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レコメン度:★★★★☆

(DISC1)

  1. 天まで登れ!
  2. ロマンスの途中
  3. 私が言う前に抱きしめなきゃね (MEMORIAL EDIT)
  4. 五月雨美女がさ乱れる (MEMORIAL EDIT)
  5. イジワルしないで 抱きしめてよ
  6. 初めてを経験中
  7. 裸の裸の裸のKISS
  8. アレコレしたい!
  9. ブラックバタフライ
  10. 風に吹かれて
  11. 背伸び
  12. 伊達じゃないよ うちの人生は

(DISC2)

  1. Wonderful World
  2. CHOICE & CHANCE
  3. 愛・愛・傘
  4. 生まれたてのBaby Love
  5. 選ばれし私達
  6. Ca va ? Ca va ? (サヴァサヴァ)
  7. GIRLS BE AMBITIOUS
  8. 愛のダイビング
  9. チクタク 私の旬
  10. 未来へ、さあ走り出せ!
  11. 続いていくSTORY

(DISC3)

  1. Magic of Love (J=J 2015Ver.)
  2. 香水 (J=J 2015Ver.)
  3. 鳴り始めた恋のBELL
  4. スクランブル
  5. BABY! 恋にKNOCK OUT!
  6. ラストキッス

※太字は良かったトラック


日本の音楽は好きだ。アイドルソングも嫌いじゃない。でもアイツほどに熱中はできない。ただ曲を聴ければ充分なタイプだ。これは自分語りかもしれませんが(笑)、共感いただける方も一定数いると思っております。そして、そんな方でしたら思いは同じでしょう。

「待ちに待った!」 、Juice=Juiceのアルバム『First Squeeze!』が7月に発売されました。

Juice=Juiceは、モー娘。で有名なハロープロジェクトから2013年にデビューした5人組のアイドルです。デビューシングル 「ロマンスの途中」 は、一聴でつんく♂の仕業だとわかる、かつ素晴らしい曲でした。 その後に出したシングル 「イジワルしないで 抱きしめてよ」

「裸の裸の裸のKISS」 も良かった。ここ最近こそは食指が伸びませんでしたが、つねに活動をチェックする存在で、彼女たちの活動をまとめた本作を待ち望んでいました。

というわけで、シングルを揃えられるだけでも十分すぎる『First Squeeze!』ですが、アルバム曲にも佳作が多く、大変満足のいく作品でした(ウソ。

「愛・愛・傘」は佳作どころか、2015年のナンバーワンかもしれません。 後述)。

多種多様にアレンジされた「歌謡曲」

なぜJuice=Juiceが面白いかというと、2つの理由があります。

1つ目は、つんく♂(※1)の数ある才能のうち、私の好きな種類が存分に発揮されていること。

つんく♂のメロディセンスは、「ズルい女」やモー娘。の初期作に凝縮されている、と思っています。回顧的に言えば、その感じを21世紀に復活させたのがJuice=Juiceでした。それは_「洗練されていないゴージャス感」_ と呼べるでしょうか。旋律と台詞がミックスされた、適度にリズムカルで歌いやすい曲がその特徴です。

2つ目は、これが本記事のテーマですが、 Juice=Juiceの曲のほとんどが「歌謡曲」 であるところです。だから、余計に懐かしい。

というのも、Juice=Juiceの曲には多種多様なジャンルや雰囲気が参照されています。似ている曲というのがほとんどありません。

ここで重要なのは、さまざまな資料をただコピペした訳ではなく、日本お得意の――悲運のデザイナーによって、もはやこのことは自明でなくなりましたが(※2)――独自の解釈がなされていることです。この点が、Juice=Juiceの楽曲を「歌謡曲」たらしめています。

だからといって、全ての曲がバラバラかと言えばそうでもなく、一体感のようなものもあります。これはボーカルの力、ことに宮本佳林というアイドルサイボーグ(松田聖子の21世紀版、みたいな人です多分)の力、つまりは_ハロプロ帝国_ の力でしょう。どんな曲を歌ってもちゃんと「Juice=Juiceだなー」とわかります。

「クセ」を避けた良曲揃い

本作でちょっと感じたことがありました。

ハロプロの曲って、どこかで強烈な「ハロプロ感!」みたいなのを覚えるものなんですが、それがあまりなかったんですよね。これが、より一層「歌謡曲」っぽさを感じさせました。

さきほどのハロプロ帝国の話で、つんく♂の才能のもう一つに 「どんな曲にもハロプロ感を付加できる」 というのがあります。これが、自分のようなパンピーには、ときおりクドく感じる時がありました。

Juice=Juiceの楽曲は、もしかするとハロプロファンには物足りないかもしれません。しかし、個人的にはそれで大歓迎です。普通の人でも「ああいいね」と聴ける曲が多く、少なくともドン引きはしない(笑)。

制作側としても、ハロプロから飛び出していくような、そんな存在になるよう願っているのかもしれません。その結果、完成度の高いJ-POPが詰め込まれることになりました。

(※1)この記事を書き上げたあとに、つんく♂の卒業(?)を知りました。つんく♂がトップに立たずとも、「つんく♂ジュニア」たちがちゃんと後を継いでくれるだろう。というかこの「後を継ぐ」感じがハロプロなんだと思います。どんどん宝塚に近づいている、と感じます。

(※2)いますぐ「GIRLS BE AMBITIOUS」を隠すんだ! Jetの「Are You Gonna Be My Girl」のパクリだとバレたら、ネチズンにボコボコにされてしまう!

2015年ナンバーワンかもしれない「愛・愛・傘」

というわけで、興味あらば一度はチェックしてもいいと思います、Juice=Juice。

で、以下はもうアルバム紹介でもなんでもなく、日記みたいなもんです(笑)。 「愛・愛・傘」 という曲がありまして、どっちがいいですかねー。曲調とメロディを把握するために、まずは一度音源を聴いてみましょうか。

私は、この音源を聴く前に下のライブ映像を見た派でした。そのときから良い曲だと知ってはいたのですが、音源でハマりました。そして今、もう一度ライブ映像を見てひっくり返っています。

(曲は43:12から。) この曲を聴くまでは、初期の3作のような雰囲気が好きでした。

Juice=Juiceは「エキゾティシズム」をテーマにしたアイドルグループだと思っていました。それが「愛・愛・傘」で全てフッ飛びました。 よくわからなくなりました。でもヤバい。

こんな曲を2015年に聴くとは思ってなかったです。ネットがアイドルを、というか世論を、すべてを牛耳りそうな世の中で、これほど素朴なラブソングがあっていいのでしょうか(ドラムが16ビートになってるところは今風、なぐらいです)。

この3日ほど聴きすぎたおかげで、完全に5人のボーカルが聴き分けられるようになりました。

「愛・愛・傘」においては、宮本佳林のボーカルが圧倒的です。1番のサビの最後の「この雨が止む前に」というフレーズを、こんなニュアンスで歌える16歳。経験が無いからこその、まさしくアイドル的な歌唱です。それは、だからこそ逆説的に、リアルで腐りきった心に染みこんでいきます。

もちろん、高木紗友希と金澤朋子もそれぞれ良い味があります。高木紗友希は普通に上手いのも良いんですが、この年齢にして幾分かの「不幸」を背負ったような深みのあるボーカルが好きです(「この娘だけは傷つけちゃいけない。もうたくさん傷ついたから」と思わせるような。「メンバーフルーツ」がレモンという、一人だけ「そのまま食べられない」フルーツだからか!?)。金澤朋子は「大人の色気」ってやつですよね。あるいは安心感、だと思いますが。

とりあえず、現時点でこれを越える曲が出てくる感覚がしていません。おそらく、2105年でナンバーワンだと思います。

---というわけで、アイドル史において、そして歌謡曲史において、『First Squeeze』は歴史に残るだろう、と考えております。 同時に、Juice=Juiceが楽曲だけを武器に、現在のJ-POP界に本気で殴りこみに行くことをちょっとだけ期待しつつ。セカンドアルバムも非常に楽しみです。


Kobori Akira

IT業界の社会人。最近はプロレスと音楽の話題が多め。
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