[amazonjs asin=“B00X93LJ2I” locale=“JP” title=“First Squeeze!(通常盤)“]
レコメン度:★★★★☆
(DISC1)
- 天まで登れ!
- ロマンスの途中
- 私が言う前に抱きしめなきゃね (MEMORIAL EDIT)
- 五月雨美女がさ乱れる (MEMORIAL EDIT)
- イジワルしないで 抱きしめてよ
- 初めてを経験中
- 裸の裸の裸のKISS
- アレコレしたい!
- ブラックバタフライ
- 風に吹かれて
- 背伸び
- 伊達じゃないよ うちの人生は
(DISC2)
- Wonderful World
- CHOICE & CHANCE
- 愛・愛・傘
- 生まれたてのBaby Love
- 選ばれし私達
- Ca va ? Ca va ? (サヴァサヴァ)
- GIRLS BE AMBITIOUS
- 愛のダイビング
- チクタク 私の旬
- 未来へ、さあ走り出せ!
- 続いていくSTORY
(DISC3)
- Magic of Love (J=J 2015Ver.)
- 香水 (J=J 2015Ver.)
- 鳴り始めた恋のBELL
- スクランブル
- BABY! 恋にKNOCK OUT!
- ラストキッス
※太字は良かったトラック
日本の音楽は好きだ。アイドルソングも嫌いじゃない。でもアイツほどに熱中はできない。ただ曲を聴ければ充分なタイプだ。これは自分語りかもしれませんが(笑)、共感いただける方も一定数いると思っております。そして、そんな方でしたら思いは同じでしょう。
「待ちに待った!」 、Juice=Juiceのアルバム『First Squeeze!』が7月に発売されました。
Juice=Juiceは、モー娘。で有名なハロープロジェクトから2013年にデビューした5人組のアイドルです。デビューシングル 「ロマンスの途中」 は、一聴でつんく♂の仕業だとわかる、かつ素晴らしい曲でした。 その後に出したシングル 「イジワルしないで 抱きしめてよ」 、
「裸の裸の裸のKISS」 も良かった。ここ最近こそは食指が伸びませんでしたが、つねに活動をチェックする存在で、彼女たちの活動をまとめた本作を待ち望んでいました。
というわけで、シングルを揃えられるだけでも十分すぎる『First Squeeze!』ですが、アルバム曲にも佳作が多く、大変満足のいく作品でした(ウソ。
「愛・愛・傘」は佳作どころか、2015年のナンバーワンかもしれません。 後述)。
多種多様にアレンジされた「歌謡曲」
なぜJuice=Juiceが面白いかというと、2つの理由があります。
1つ目は、つんく♂(※1)の数ある才能のうち、私の好きな種類が存分に発揮されていること。
つんく♂のメロディセンスは、「ズルい女」やモー娘。の初期作に凝縮されている、と思っています。回顧的に言えば、その感じを21世紀に復活させたのがJuice=Juiceでした。それは_「洗練されていないゴージャス感」_ と呼べるでしょうか。旋律と台詞がミックスされた、適度にリズムカルで歌いやすい曲がその特徴です。
2つ目は、これが本記事のテーマですが、 Juice=Juiceの曲のほとんどが「歌謡曲」 であるところです。だから、余計に懐かしい。
というのも、Juice=Juiceの曲には多種多様なジャンルや雰囲気が参照されています。似ている曲というのがほとんどありません。
ここで重要なのは、さまざまな資料をただコピペした訳ではなく、日本お得意の――悲運のデザイナーによって、もはやこのことは自明でなくなりましたが(※2)――独自の解釈がなされていることです。この点が、Juice=Juiceの楽曲を「歌謡曲」たらしめています。
だからといって、全ての曲がバラバラかと言えばそうでもなく、一体感のようなものもあります。これはボーカルの力、ことに宮本佳林というアイドルサイボーグ(松田聖子の21世紀版、みたいな人です多分)の力、つまりは_ハロプロ帝国_ の力でしょう。どんな曲を歌ってもちゃんと「Juice=Juiceだなー」とわかります。
「クセ」を避けた良曲揃い
本作でちょっと感じたことがありました。
ハロプロの曲って、どこかで強烈な「ハロプロ感!」みたいなのを覚えるものなんですが、それがあまりなかったんですよね。これが、より一層「歌謡曲」っぽさを感じさせました。
さきほどのハロプロ帝国の話で、つんく♂の才能のもう一つに 「どんな曲にもハロプロ感を付加できる」 というのがあります。これが、自分のようなパンピーには、ときおりクドく感じる時がありました。
Juice=Juiceの楽曲は、もしかするとハロプロファンには物足りないかもしれません。しかし、個人的にはそれで大歓迎です。普通の人でも「ああいいね」と聴ける曲が多く、少なくともドン引きはしない(笑)。
制作側としても、ハロプロから飛び出していくような、そんな存在になるよう願っているのかもしれません。その結果、完成度の高いJ-POPが詰め込まれることになりました。
(※1)この記事を書き上げたあとに、つんく♂の卒業(?)を知りました。つんく♂がトップに立たずとも、「つんく♂ジュニア」たちがちゃんと後を継いでくれるだろう。というかこの「後を継ぐ」感じがハロプロなんだと思います。どんどん宝塚に近づいている、と感じます。
(※2)いますぐ「GIRLS BE AMBITIOUS」を隠すんだ! Jetの「Are You Gonna Be My Girl」のパクリだとバレたら、ネチズンにボコボコにされてしまう!
2015年ナンバーワンかもしれない「愛・愛・傘」
というわけで、興味あらば一度はチェックしてもいいと思います、Juice=Juice。
で、以下はもうアルバム紹介でもなんでもなく、日記みたいなもんです(笑)。 「愛・愛・傘」 という曲がありまして、どっちがいいですかねー。曲調とメロディを把握するために、まずは一度音源を聴いてみましょうか。
私は、この音源を聴く前に下のライブ映像を見た派でした。そのときから良い曲だと知ってはいたのですが、音源でハマりました。そして今、もう一度ライブ映像を見てひっくり返っています。
(曲は43:12から。) この曲を聴くまでは、初期の3作のような雰囲気が好きでした。
Juice=Juiceは「エキゾティシズム」をテーマにしたアイドルグループだと思っていました。それが「愛・愛・傘」で全てフッ飛びました。 よくわからなくなりました。でもヤバい。
こんな曲を2015年に聴くとは思ってなかったです。ネットがアイドルを、というか世論を、すべてを牛耳りそうな世の中で、これほど素朴なラブソングがあっていいのでしょうか(ドラムが16ビートになってるところは今風、なぐらいです)。
この3日ほど聴きすぎたおかげで、完全に5人のボーカルが聴き分けられるようになりました。
「愛・愛・傘」においては、宮本佳林のボーカルが圧倒的です。1番のサビの最後の「この雨が止む前に」というフレーズを、こんなニュアンスで歌える16歳。経験が無いからこその、まさしくアイドル的な歌唱です。それは、だからこそ逆説的に、リアルで腐りきった心に染みこんでいきます。
もちろん、高木紗友希と金澤朋子もそれぞれ良い味があります。高木紗友希は普通に上手いのも良いんですが、この年齢にして幾分かの「不幸」を背負ったような深みのあるボーカルが好きです(「この娘だけは傷つけちゃいけない。もうたくさん傷ついたから」と思わせるような。「メンバーフルーツ」がレモンという、一人だけ「そのまま食べられない」フルーツだからか!?)。金澤朋子は「大人の色気」ってやつですよね。あるいは安心感、だと思いますが。
とりあえず、現時点でこれを越える曲が出てくる感覚がしていません。おそらく、2105年でナンバーワンだと思います。
---というわけで、アイドル史において、そして歌謡曲史において、『First Squeeze』は歴史に残るだろう、と考えております。 同時に、Juice=Juiceが楽曲だけを武器に、現在のJ-POP界に本気で殴りこみに行くことをちょっとだけ期待しつつ。セカンドアルバムも非常に楽しみです。