以下、いつも通り長文になるので、結論を先に。 『FRAGMENT』、めちゃくちゃいいから6枚買ってください!
嘘です。1枚で良いから買って愛聴してください。
w-inds.の橘慶太、KEITAの2ndソロアルバム 『FRAGMENT』 が12月16日に発売されます。
w-inds.は日本の男性アイドルグループですが、最近では楽曲面が注目されることが増え、今年の夏に発売された **『Blue Blood』**はファンクをリバイバルしたあたりに、一部の音楽ファン(コボリアキラ含む)は熱狂しました。 (詳しくは、w-inds.『Blue Blood』〜ネオ・ファンクの愛撫は長いほど【けっきょく、J-POP】や、【ネタバレ】w-inds.「Blue Blood」ライブレポと感想(八王子)〜ついに見せた完成形をご覧ください。
そんな素晴らしい音楽を生み出し続けるw-inds.のボーカリストが橘慶太です。で、彼が2年前ほどから進めてるのが、今回のソロプロジェクトです。オフィシャルを引用すると、こうですね。
w-inds.のメインヴォーカリスト橘慶太が2年半ぶりとなるソロ作品をリリース!
KEITA名義のソロデビューを経て2013年6月に発表された1stアルバム「SIDE BY SIDE」以来となるソロミニアルバムを発売!
彩り豊かな表現力や卓越したファルセットが高い評価を得ているKEITAのヴォーカルを存分に堪能できるのはもちろん、今作は、
KEITA自身による作詞・作曲・編曲となる楽曲を初収録。ヴォーカリストとしてだけではなく、クリエイターとしての才能も開花させた意欲作に!
2年半ぶりとなるソロ作品! KEITAミニアルバム「FRAGMENTS」発売! ジャケット写真&収録曲公開! | INFORMATION |
KEITA オフィシャルサイト
KEITA自身が作詞・作曲・編曲している
で、今回のアルバムのウリは、オフィシャルも書くように **「KEITA自身による作詞・作曲・編曲となる楽曲を初収録」**しており、「クリエイターとしての才能」を堪能できるところです。
「作詞」、「作曲」の区分をちゃんと理解する
ところで、自分が中高生の頃なんですが、あまり「作曲」とか「編曲」って言葉を理解している人は多くありませんでした。 とくに、 **「編曲」って何?**って話だと思うので、せっかくですからこの言葉をまとめておきますね。
---作詞(リリック) は文字通り、歌詞をつくることです。たいていは1人で作りますが、複数人で考えを出し合うこともあります。 「アイドルが作詞に挑戦!」ってのはよく見かけますが、だいたいはクレジットにもう一人プロの作詞家が入っているはずです。これは、アイドル本人がベースを作ったあと、表現方法やメロディとの合致などをプロと相談してやってるのだと思います。
作曲(コンポーズ) は、楽曲のメロディをつくることです。誤解しないでいただきたいのは、 「楽曲すべてをつくる」訳ではありません。
わかりやすく言えば、 ボーカルのメロディをつくるのが作曲です。 あなたが鼻歌でフンフン歌えば、それが作曲行為です。
「シンガーソングライター」というジャンルがありますが、これはシンガー(歌い手)であると同時にソングライター(作曲家)でもある、つまり「自分で考えたメロディを歌う人」ってことですね。だいたいは歌詞も考えています。
言い方を変えれば、鼻歌に歌詞をつけて歌えば、あなたも立派なシンガーソングライターなんです。
「編曲」は、音楽制作のキモ
歌詞を書き、メロディをつくれば作詞・作曲はできます。
一方で、そのボーカルの裏で鳴っているピアノ、ギター、ドラム、ベース、トランペット、バイオリン、シンセサイザー、コーラス、などなど。
メインボーカル以外の音をつくるのが、「編曲(アレンジ)」です。
「シンガーソングライターってのは鼻歌に歌詞つければ一応できる」と言いましたが(※お怒りになる前に記事最下部の注をお読みください)、一般の人が唯一できないのが編曲です。なぜかと言えば、編曲には最低限の音楽理論や楽曲の構成、または機材の購入やその扱いなど、多少なりとも学習が必要だからです。
編曲によって、曲の印象というのは大きく変わります。たとえば、ポップスとしてはダサい童謡も、アレンジ次第でその印象が変わります。
アイドルが編曲をする、というおかしな現象(あと、すみませんでした!)
というように、「なんかメロディと歌詞が浮かんだので作っちゃいました!」というアイドルは過去にもいたと思いますが、「機材もガッツリ買い込んで、自分のつくりたいものを作りました!」って人は本当に数少ないです。
そんな訳から、「編曲ってのはプロの仕事だ」ってのが自分の価値観なので、正直に言って、KEITAが初めて世に出すアレンジ曲に対するハードルはめちゃくちゃ低く、
マジな話、慶太作の楽曲についてはクオリティ問わないので(編曲にもいろいろなパターンがあり、もし本当にすべてを慶太がやったら他のプロの楽曲との差が如実に出ます。だからフォローは入っているとは思いますが)、どうか方向性に共感できるものであってほしい!
— コボリアキラ (@kobori_akira) 2015, 10月
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というツイートをして、ご本人からクレームをいただき、見事炎上(笑・KEITAさんのツイートはすでに消されていますので下手な詮索は止めましょう)。逆に言うと、ミジンコみたいな自分に返信するぐらい情熱の入ったアルバムなんだ、ということがわかります。
このツイートでも書いていますが、「編曲」は「メインボーカル以外の音をつくる」ので膨大な作業になります。なので、たとえば、
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ストリングスは専門のアレンジャーに頼む(よく見られる例です。金原千恵子さんや弦一徹さんが有名ですね)
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音のチョイスやセッティングはプロがやる(アレンジャーは譜面を書くような感じ)
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ミックスは完全に他に依頼(そもそもは編曲にミックスは組み込まれていません。KEITAがこれを自身でやっているのか、すごい気になっています)
みたいに、「編曲」への関わり度合いもアーティストによって異なるんです。というわけで、ここらへんは実際に発売されたCDのクレジットを見ないとわかりません。
(※)ちなみに、私はw-inds.と同様にジャニーズも愛する穏便派なのでご容赦願いたいんですが、KEITAと同じ「全部自分でやるわもう」というタイプに堂本剛がいます。KEITAが大人のソウル・ミュージックをやるなら、堂本剛はドロッドロの泥臭いファンクです。あるいは「みんな宇宙とひとつになろう」みたいな(笑)。堂本剛=ENDLICHERI☆ENDLICHERI時代の傑作『Neo Africa Rainbow Ax』はオススメです。
『FRAGMENT』は、KEITA流の「ソウル・ミュージック」になりそう
というわけで、やっとアルバムに対するコメントに移れます。当ブログのリピーター様におかれましては、いつも通りですよね(笑)。ニヤニヤしながら読んでいただければ幸いです。
アルバム収録曲のうち2曲しか聴けていないのですが(それもラジオの音源)、そこからなんとなく想像するのは、今回のアルバムはおそらく「KEITA流のソウル・ミュージック」であろう 、ということです。 とくにこれは **「Brand-New-Day」**に顕著でして、彼が敬愛(ないしは参照)してるであろうジャスティン・ティンバーレイクを、自分なりに落とし込んで作られています。ボサノヴァのテイストも少し混ぜるなど、新しい取り組みも感じられます(ここはCD発売後に言及しますね)。
そして、何が素晴らしいかって、Cメロ(ブリッジ)が美しいんですよ、この曲。このCメロは会心の出来だと思います。ポップスにおいてCメロの美しい曲に名作多し、です。
もうひとつの「IF YOU WERE MY GIRL」は、きもち遅めのディスコで、w-inds.の流れも感じます。CD音質で全体像しか掴めませんが、とりあえず良曲です。
とりあえず、KEITAがソロ作でもファンクやソウル、ディスコを土台にしていることはわかりました。
---というわけで、CD発売前のため、楽曲に対するコメントができない状況ではありますが、その状況でも既に「買い」であることだけはお伝えできればと思います(笑)。 あと2週間とちょっと。マジで、本当に、文句なく、楽しみです!
(※)重要な補足。この記事では編曲が重要視されるように書いています。しかし実際には、曲の中心を担う作曲、曲が歌い継がれるために必要な作詞。この2つにパワーがあって、はじめて編曲の重要性が問われる。このことは、音楽を愛する人には但し書きとしてお伝えする必要もないことかもしれません。念のため。