koboriakira.com

今年は、「あ、27時間テレビやってたの!!」という驚きから、「さんま×中居」でスタート。こんな事は初めてです。

そんな今回は、面白い場面もたくさんありました。しかし、全てを振り返ったときにまず出てきた感想は、 「たしかに、これはフジテレビ嫌われるな…」 でした。

なぜそのような言葉が出てきたか。それは、あまりにもコントロールのされ過ぎたハプニングにあると思います。

ハメたがる『めちゃイケ』

今回、印象的だったシーンがありました。深夜3時代の「お台場のカイダン本当にあったフジ縛霊の怖い話」で、フルーツポンチがフジテレビ(のスタッフ)に対する不満を紹介したシーンです。一応、簡単にあらすじを記録しておきましょうか。

フルポンがはじめて『めちゃイケ』でネタ見せをするチャンスを貰ったとき、「フリートークがあやしい」ということで、ディレクターのカガリDと綿密な打ち合わせをしました。

しかし収録当日。あまりの緊張からか、打ち合わせをまったく無視したフリートークをしてしまったフルポン。収録後、帰りのエレベータに乗ったフルポンに、カガリDから「あのトークの件は致命的なミスやったけどな」と一言。これが衝撃的だったようです。

とまあ、この内容はどうでもよくて(笑)、本題はこれをテーマにしたフリートーク中にあります。以下、重要な箇所を書き起こしますと、

たむらけんじ「(カガリDは) ハメたがるんですよ。こう来るから、こう、こう…って。
ウーマン村本「めちゃイケのスタッフさんはそうですよ。『こんなボケどうですか?』って言っても、『俺は岡村を知っている』みたいな」フ […]
フルポン村上「実際どうでしたか? そんなにミスでしたか?」
カガリD「まあ、『どっちにいってもウケるでしょう』という、僕の中の想定はあった気がするんです。『絶対スベりようが無いな』って思って、トークも考えてた」
中居「やっぱり、ハメたほうがいいんですか?」
カガリD「どっちいっても一応保険が効いてる、ってほうが芸人さんのために良いかなって。両方イケるように準備してたんですけど…(他の芸人に話取られる)。どっちもイケるはずだったんですけど、『あ、スベるのもあんねや』って印象でした」
フルポン村上「(立ち上がって)いや、スベってはない!」

もちろん笑い話の一つですから、この発言ひとつを取り上げて以降の考察を進めていくのはちょっと極端です。しかし、笑い話で済ませるほどに軽い発言でもない、というのがジャッジです。

ハメられたハプニングは面白いのか?

で、今回の27時間テレビは、その「面白くなるようにハメていく」という『めちゃイケ』ひいてはフジテレビの姿勢が、裏目に出たような気がしました。

言い換えれば、今回の 27時間テレビのテーマである「本気」が、「面白くなるようにハメていく」という姿勢とバッティングしている ように感じたんですよね。

たとえば、27時間テレビの様々な場面を思い出すと、「早朝のフジ本気ロックフェスティバル」の野爆川島。「TED×27hTV」のカンニング竹山、出川哲朗。「テレビのピンチをチャンスに変えるライブ」の「No Limit」無限リピート。 「つまらなかった」とは思いません。

しかし、面白さ以上に「ハメ」の思惑を強く感じとったことは事実です。笑いつつも、ちょっと冷めながら見ている自分がいました。 とくに「No Limit」のシーンは複雑な気持ちで見てました。それなりに面白かったのだけれども、どうしても 「マッチポンプ…じゃね?」 という考えが頭をよぎったり。

裏番組では、奇しくも(作戦か)、イモトアヤコがマッキンリー登山を成功させ、その「本気」ぶりを魅せつけることになりました。

あの日の一般的な視聴者なら、たしかに日テレのほうに気持ちがいくだろうし、フジテレビの姿勢がより悪い方向に捉えられてしまうのは仕方なかったと思います。

震え上がったホンキーマンJr.のプレゼン

もうひとつ、衝撃的だったシーンがありました。というか、このエントリはこっちが本題です。上の話はニュースサイトでも同じようなことが書いてあります。

震え上がりながら聞いたそれは、「TED」での ホンキーマンJr.(寺田心くん) のプレゼンです。

まず、ホンキーマンJr.(以下Jr.)のプレゼン前から恐怖は始まりました。全てのプレゼンが終了した後、中居くんがJr.に訊ねます。

中居「ホンキーマンJr.も何か思うことってあるの? 感じたこととか」 Jr.「うーん?」 中居「言いたいこととかあるの?」 Jr.「どうかな?」
中居「言ってみる?」 Jr.「いや、ムリムリムリ!」 矢部「そりゃそうやわー」 中居「じゃあ止めておこうか? 無理しなくていいんだ」
Jr.「でも、上手くできるか分からないけど、やってみます!」

寺田くんの大御所っぷりも相まって、身体の底から震えが始まりました(笑)。一体何が始まるんだ。 壇上に上がるJr.は、次のようにプレゼンを始めました。

皆さん、こんにちは。ホンキーマンJr.です。
ぼく、今日はほんとうに楽しかったです。テレビを見てこんなに笑ったのははじめてです。テレビのお仕事でこんなにも笑ったのもはじめてです。
だからぼくは、みなさんのプレゼンを聞いてわからなくなりました。 ほんとうに、テレビはピンチなんですか?

「止めて! コボリのライフはゼロよ!」でしたっけ? そんな感じで死にそうになっているところに、Jr.は畳み掛けます。

岡村さん。おちゃらけてなんかいないですよね。 なんだかスゴく一生懸命なの伝わりました。
竹山さん。写真、出てくるたびに笑っちゃいました(注意:写真は、FLASHがスッパ抜いた竹山の不倫のやつ。裸の写真)。
テレビに限界なんて、無いんですね。 淳さん、それから亮さんも。 ドキドキするテレビ、ありがとうございました。
(ここで泣けるインストが鳴り始める) (ホリケン、光浦にもコメントを投げかけて、) 劇団ひとりさん、ザキヤマさん。 超ウケました。 出川さん。
ほんとうに、ほんとうに面白かったです。 だからぼくは、皆さんのプレゼンを聞いて、 テレビは今ピンチじゃなくてチャンスなんじゃないかな
、と思いました。 だって、今日のこのTED、最高に面白かったから。 これからも、 皆さんの力でもっと、もっとテレビを面白くしてください。
ぼくのプレゼンは以上です。ありがとうございました。

この後に、加藤浩次とのやり取りもあったりするんですが、ちょっと精神力が切れかかってきたので止めます(笑)。

「ハメ過ぎ」の極北。あまりにピュアすぎるバラエティ

正直言って、かなりヤバいと思いました。巷で言われる、フジテレビの 末期感 みたいなのが出た瞬間でもあります。 当たり前ですけど、

このプレゼンは寺田心くんが考えたものではありません(俺は見切ったぞ!)。 バリバリにフジテレビのスタッフが作ったものです! つまるところ、この_ホンキーマンJr.のプレゼンは、フジテレビからフジテレビへ送った、自己肯定のラブレターです。_ 「お前、良い男だよな」って手紙を瓶に詰めて海に投げて、満潮で回収して読み直すような、そんなホラー感さえあります。

「面白くなるようにハメていく」ということをピュアに進めていった結果、フジはここに辿り着きました。

ちなみに、上のようなシーンはもうひとつありました(ホンキーマンほどではありませんが、両手両足ぐらいは震えました)。

それはグランドフィナーレの終盤。司会を務めたナイナイと中居くんの3人の誰もが、視聴者以上に、スタッフや出演者に対してコメントをしていた場面です。

「あれ、打ち上げも放送されるのかな?」と、まさかテレビを観ていてこの種類の疎外感を感じるとは思わなかったです(笑)。

これでフジテレビを嫌いになるほど単純にはできていませんが(笑)、あまりにもピュアすぎるその姿勢に苦笑を混じえざるを得なかったことはったと思います。

本当のピンチは、この27時間テレビで始まりを迎えた。そう語られる日がいつか来るかもしれません。


    Kobori Akira

    IT業界の社会人。最近はプロレスと音楽の話題が多め。
    読む価値のある記事は Qiitanote に投稿します。
    過去人気だったブログ記事はこちらから。