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SKY-HI論(1)〜「愛ブルーム」のラップを考察する


久しぶりの更新になります。昨年秋あたりからエンジニアとして働いているのですが、プログラミングが楽しすぎて、エッセイ用のキーパンチを忘れていました。

今日はそのうちの一つである「SKY-HI」というラッパーについて、すこし考察を進めてみます。

先にお断りしたいのは、まだ自分も(現時点でさえ)しっかりとした結論を持っている訳ではありません。むしろ書きながら思考を整理しようと思っています。

とはいえ、巷で読めるような「このときの歌詞はどんな気持ちで書いたんですか?」みたいな記事とは部類が異なるはずなので、楽しんでもらえれば。

ライティングスキルがガッツリ減ってしまったので、読みにくさはご容赦ください!(笑)

SKY-HIとは

さきにSKY-HIの経歴をザッと追ってみます。

SKY-HI a.k.a 日高光啓は、3年前の2013年にデビュー。現在2枚のフルアルバムをリリースしています。直近では「クロノグラフ」を5月にリリース。7月末には「ナナイロホリデー」のリリースも告知されています。

3ヶ月に1度リリースしていれば十分な音楽シーンで、こんなペースで作品を出せるのは売れている証拠です。しかも、その中でも勢いのかなり強いほうです。本人のモチベーションも高いでしょうし、きっと現在が一番充実している時期かもしれません。

また、デビュー前からアンオフィシャルに近い活動もしていまして、実はデビュー前から既に『FLOATIN’ LAB』というアルバムを出してもいます。コボリ自身がSKY-HIを知ったのもこの頃でした。下の動画は、KEN THE 390にfeat.された「What’s Generation」です。


(※ファンの方には申し訳ないんですが、このときはほとんど興味ありませんでした。RAU DEFのラップに興味があったんですよね。)

上の音源を聴いてもらればわかりますが、この頃からラップスキルは高いです。とくに1つのバースの中で起承転結させるのが上手ですよね。

あと、「それを最初に言うべきでは?」って言われるかもしれませんが、AAAというアイドルグループの一員でもあります。が、個人的にはこれは末尾に付け加えるぐらいの重要度の情報です。

「愛ブルーム」からはじめよう

それで、本来であれば最新アルバム『カタルシス』のレビューをして、「ここが凄いんだ!」とか紹介すべきなんでしょうが、あまりにタイミングが遅くなりすぎましたし、そもそも『カタルシス』を語る前に「愛ブルーム」のことすら誰も語っていないんじゃないかと思ったので、このエントリでは「愛ブルーム」だけを取り扱います!(なんて時代の遅いブログだ! いいぞそれが個人ブログだ!笑)

というのも以前、「【レビュー,批評】11,000字のKREVA論〜ラップの<ノイズ>と<啓蒙>」というエントリを書いたことがあるんですが、今回のエントリもKREVA論と同じような動機で書いています。

すなわち、「ラップの技術について、語れることは語ってみようよ」ということです。

んで、「愛ブルーム」はSKY-HIの作品の中でも彼らしさがよく出ていると思ったので、取り上げることにしました。

フロウ・ダイアグラムとは?

ここから「愛ブルーム」のラップを分析していきますが、分析ツールとしてラップのリズムを楽譜のように表す記法術――「フロウ・ダイアグラム」――を利用します(説明は後述)。

SKY-HIはフロウ・ダイアグラムを使ってラップを作っている訳ではありません。ボールペンでレシート裏にリリックを書きつけるような(笑)、もっと自然にフロウ・ライムを着想しているはずです。つまりは、分析する側は製作者の倍ぐらい時間かけて見ていく必要があるんだ、ってことです。

というわけで、「愛ブルーム」の楽曲、歌詞、フロウ・ダイアグラムを早速見てみましょう。サビをのぞいた、ラップ部分だけをどうぞ。

歌詞はこちらで。

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一見してもよくわからないと思いますが、それが普通です。さらに、これから説明はしますが、わからない人も続出するはずです。説明足らずがたくさんあって申し訳ないですが、感覚でつかんでください(笑)。

フロウ・ダイアグラムの読み方

(1)上にある「1,2,3,4」の数は拍を表しています。フロウ・ダイアグラムは、歌詞を拍に合うように配置する方法です。
簡単にいえば、カラオケのテロップの詳しいバージョンです。曲に合わせて手拍子をしてみると、ちょうど歌詞が一致しませんか?

(2)左にある数は小節を表しています。1行で1小節ですね。わからない人は無視しても問題ありません。

(3)韻を踏んでいる箇所には、同じ色でハイライトしました。色の選び方は適当ですが、真っ赤なやつだけは「個人的に韻だと感じる」用に使いました。

(4)3連符になっているところは枠でかこっています。「3連符って何?」って人は、これも無視しちゃってください。

というわけで、このダイアグラムだけでも「おー! こうなってるのか! 凄い!」という方から「余計に混乱してきた」という方まで、様々だと思います(笑)。

何度も書きますが、今回は説明足らずの箇所がたくさんあります。振り落とされそうな方は頑張って音源と表を何度も見比べてください!(笑)

SKY-HIラップの特徴

このフロウ・ダイアグラムからSKY-HIのラップの特徴を考えてみます。2つほど提示してみましょう。

  1. 3連符の利用
  2. 「教科書」以降のライミング

(1)3連符の利用

他のラッパーに比べて、3連符をガンガン使ってくる印象があります。それでもクドく感じないのは、3連符と4連符(16ビート)をうまく絡ませるのが上手だからでしょうか。

たとえば、VERSE1の「心配なら要らない 最高のひとつ上をプレゼント」に感心したんですが、「最高」の“さ”と「プレゼント」の“ゼント”は、言葉を置く位置が微妙に異なっています。具体的には、“さ”は3連符上に配置されているのに大して、“ゼント”は16ビートの裏を喰うように配置されていますね(何度も書いていますが、今回はかなりマニアックに書いているんで、脱落しても仕方ないです・笑。次回エントリでもう少し簡単な説明を試みます)。

VERSE2の「振り落とされないようにしがみつく僕にウインク」の箇所も、普通だったらずっと3連符でいきそうなんですが、途中で16ビートに戻していますよね。

さらに「愛ブルーム」では、VERSE1のラスト「宝探し」の箇所だけですが、半拍を3分割したフロウもよくやる印象があります。SKY-HIのラップが高速に感じるとすれば、この3連符が効いてるはずです。

ちなみに、コボリはラップのカラオケ動画を観るのが好きで(笑)、「愛ブルーム」のカラオケ動画も当然全て見ました。「愛ブルーム」のラップはかなり大変だと踏んでいたんですが、予想以上にみんな上手でビックリしました。そりゃあKREVAも「基準」を上げる訳だ。

(2)「教科書」以降のライミング

「教科書」というのは、ほぼ自分の造語です。前述のKREVA論に由来しています。

KREVAの韻の踏み方(母音も場所も完全に一致させるような韻)をベーシックとすると、SKY-HIはベーシックでありつつも変化を加えるタイプです。すこし言葉を変えてみたり、踏む場所を変えてみたり、リズムに変化を与えてみたり。

たとえば、VERSE1の「スカートに」、「火遊び」、「ハードに」を同じリズムで踏みつつ、その間に「段取り」、「ハンドリング」と違ったリズムを入れています。

VERSE2の「ジェラシー」と「フェイバリット」も、母音を一致させつつ、リズムを変えることで面白さが出てます。

その他では、他のラッパーと比べて頭韻を積極的に利用してくるような印象もありました。

歌い出しの「アスファルト」と「バグだらけ」もそうですし、何度も聴いていると、VERSE2の「花が色を増す」と「枯らさないように」もフィットしてます。

全体的には、KREVAだったら少し躊躇しそうなところをSKY-HIはできるかぎり工夫しようとしている感じです。ここらへんはよくある話で、「昔はテクニックをバリバリ出していたけど、いまは良いメロディを素直に弾くだけッス」みたいな(笑)、そういう類の方針決めの問題ですね。

実際に音源でも比較をしたいが。。。

というわけで、このエントリを開いた方の1割でも、ここまで読んでいただけていればガッツポーズです。どうでしょうか。。。?(笑)

自分でも書いていて思ったんですが、やっぱりここは文章だとサッパリ伝わらないことが多いですよね。

ですので、後編では実際にSKY-HIのラップを自分で真似しまして(笑)、さらに特徴的な箇所を「普通だったらこうやる」とか「こういうフロウもあった」みたいなことを音源で説明してみようと思います。上手くいったら拍手喝采。最悪の場合、「偉そうなことを書いといて、そもそもラップ下手じゃねえか!」ってディスられることも有り得ます(笑・一応ラッパーなんですこれでも。最新作はこちらから)。

とはいえ、先に『フリースタイルダンジョン』の話を書きたいので、すこしばかりお時間をください。その間、フロウ・ダイアグラムをじっくり見つつラップを真似するだけでも、それぞれ気づくことがあるかと思います。それでは。


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