中島美嘉を取り戻し、古き良き時代を取り戻し、21世紀の日本で流行るかもしれないポリリズムを取得してみよう、の第3回です。
繰り返しになりますが、 このエントリ群は、できれば最初からお読みになって、音源もひとつひとつ聴かれたほうが楽しいです。
文面だけ読んでわかるレベルにポリリズムをご存知でしたら、多分面白い話はあまり無いと思います。 まずは、この連載のインスピレーション元である中島美嘉「Love Addict」を聴いてみましょう。肩/脇フェチにとっては、サビの映像はたまらないですねー。昨日はじめて『さや侍』を見ましたが、同じくらい性的です(『さや侍』が性的すぎた、って意味です)。
クロスリズムを、図と音でインストールする
今回は、これまで取り上げた「ベース(ハイハット)とピアノ(スネア)でのリズムの違い」について、いよいよ <クロスリズム>という言葉を使って説明してみます。 まず、こちらを聴いてみてください。前回の最後に紹介した音源です。 [audio mp3=”http://koboriakira.com/wp-content/uploads/2015/10/4.mp3”][/audio]### 2(偶数)と3(奇数)をそれぞれ意識する上の音源だけだと何をやってるかわからないので、下の図をもとに解説していきますね。 この図で重要なことは、2つあります。 ひとつは、
キックとキックの間(これを「1小節」とします)に音符が6つ入っていることです。ただの言い換えですが、1小節という時間の間に音を6つ鳴らせられるわけです。
実際に6つの音を敷き詰めてみたのが、下の音源です。強弱がないので、6つの音がひとつながりになって鳴っているイメージを持ってもらえれば、以降がわかりやすくなります。
[audio mp3=”http://koboriakira.com/wp-content/uploads/2015/10/3-2.mp3”][/audio] 文字化すれば、「 ツツツツツツ | ツツツツツツ|⋯⋯」って感じですね。 そしてもうひとつの重要な点は、 6つの音を、ハイハットは2つごとに区切り、スネアは3つごとに区切っている ことです。
ここ、めちゃくちゃ大事です。大事ですが難しくはありません。簡単ですし、ここさえ分かれば、クロスリズムは体得できます。
この章で最初に聴いてもらった音源は、区切りの箇所でしか音が鳴っていません。なので、下の音源では、1つ目の重要な点(6つの音を敷き詰める)を参照し、実際に6つ鳴らしながら区切りを強調してみました。
ハイハット(2つ区切り、「Love Addict」のベース)
[audio mp3=”http://koboriakira.com/wp-content/uploads/2015/10/3-3.mp3”][/audio] 文字化すると、「 ツ ッ ツ ッ ツ ッ|ツ ッ ツ ッ ツ ッ|⋯⋯」になります。
スネア(3つ区切り、「Love Addict」のピアノ)
[audio mp3=”http://koboriakira.com/wp-content/uploads/2015/10/3-4.mp3”][/audio] 文字化すると、「 ツ ッッ ツ ッッ| ツ ッッツ ッッ|⋯⋯」ですね。 ここまで読んでもらったら、最初の図をもう一度見てみてください。クロスリズムがどのようなものかわかるでしょうか。
ハイハットは、2つの音をひとかたまりとして区切っています。だから、6÷2=3で、3つのかたまりができます。
一方でスネアは、3つの音をひとかたまりとして区切るので、6÷3=2で、2つのかたまりができます。
以上。ここから、クロスリズムが定義できます。クロスリズムとは、
「1小節(ないしは2以上の小節)が、さまざまな数の音のかたまりに分かれ、同時に鳴っているリズム」 なのです。
まがいもののクロスリズムに注意!
ゆっくり読んでいただければ、これから説明するような間違いは無いのですが、おそらく10人に3人程度は有り得そうな間違いを紹介します。(※)
(※)「間違い」と書いていますが、なんも悪くはありません。ただ、これをクロスリズムとは呼ばない、という意味です。実際、J-POPでもよく利用される、非常に一般的なリズムの工夫です。
下の音源を聴いてみてください。 [audio mp3=”http://koboriakira.com/wp-content/uploads/2015/10/3-5.mp3”][/audio]なんか音がいろいろなタイミングで鳴っているので、「クロスリズム?」と思ってしまうかもしれないんですが、これはクロスリズムではありません。
このリズムは、図にすると下のようになります。
注意していただきたいのは、1小節(キックの間)に入っている音の数がそもそも違っていることです。 クロスリズムでは、1小節の中に入っている音の数は同じにならなければいけません。
またいずれ再登場願います
で、そうなると、「じゃあこのリズムは何なんだよ」って話ですよね(笑)。
さきに言葉で説明をすると、「3連符にしたか、していないかの違いです」とか、「1拍をどのように分割するかの問題です」とかになるんですが、
この連載では、もう少しあとで扱ってみたいと思います。
次回予告
というわけで、第3回にして、ようやくクロスリズムの話にたどり着きました。
ツイッターの140文字どころか、もう文字すら読む気になれない、インスタグラムに「いいね!」して終わり。な時代の中、ここまで読んでもらってありがとうございます(笑)。
次回からは、もう一度中島美嘉「Love Addict」に戻して、どうリズムを取ればノレるかを実践的に書いてみようと思います。では。