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結論から言うと、私の人生をすこし狂わせられてしまったであろう興行だった。たったの6千円で手に入れた最前席で観た今日のハードコアマッチ、デスマッチは、きっと明日、来月、来年、これからの私の行動(というか消費活動)に影響を与えるだろう。

新日本プロレスやスターダムのようなメジャーな団体以外の興行に行くのも初めて、1階席に座るのも初めて、そして最前席に座るのも初めてだった。しかし2,3週間前に直感した「絶対に最前席を買って、鈴季すずの試合を観る」という判断は成功だった。

タッグマッチ - 優宇&松本都 vs 柊くるみ&青木いつ希

はじめて最前席で観たプロレスが、優宇松本都のタッグと柊くるみ青木いつ希のタッグの対決でよかった。シンプルにプロレスの楽しさや迫力、痛みを楽しめ、映像では読み取れなかったすべてが手に取るようにわかったからだ。

優宇が青木いつ希に放った逆水平チョップがいまだに頭から離れない。あんなの一発食らったら二度と日常生活に戻れなそうだ。いつもよりリングに近づいただけで、そのリアリティの解像度が数段上がったことが驚きだった。

松本都選手のプロレスは今日がはじめてで、とても楽しそうにプロレスをするところが素敵だった。今度の自主興行もとても気になるセットだったし、うまく時間が空けばぜひ行くことにした。

タッグマッチ - 世羅りさ&スーパーハードコアマシン vs 藤田あかね&ハートリー・ジャクソン

この気持ちを大事にしようと思うので明かすが、藤田あかねのリングインで怯み上がった。家でも使っている、あの金色の画鋲が本当にバットに巻き付いていたからだ。画鋲はキレイに光り輝いていて新品であることがわかった。

そんなこのタッグマッチは、スーパーハードコアマシンハートリー・ジャクソンたち男子勢のサポートを得ながら、世羅りさと藤田のバチバチの戦いへ進んでいった。

誰かが誰かに画鋲を刺しているところを目の前で観るのは初めてだ。あの瞬間、いつものように「うわー」と血の気が引きつつ、そして同時に目が覚めるような衝撃も味わっていた。

鈴季すずデスマッチ10番勝負 第9戦 - 鈴季すず vs 竹田誠志

鈴季すずと竹田誠志の試合は、すずをひたすらに応援しながらも、竹田の試合運びの上手さ、この会場にいるすべての人を楽しませてくれるエンターテイナーとしての上手さに感嘆するばかりだった。

葛西純エル・デスペラードのデスマッチでも実感したが、デスマッチに「悲惨さ」というのは実はない。あるのは「いまここ」の感覚で、目の前で行われている非日常が日常を上書きしてくれる快感だ。卑近に言えば見世物を楽しんでいるわけで、高尚に言うなら生きる活力をもらっている。

ハサミですずの額を切るとき、竹田誠志は各方面でそのパフォーマンスをしてくれた。あのとき、すずの額から血が流れることを想像する辛さよりも、はるかにそれによって盛り上がる自分を実感した。とてもシンプルに、血を流して戦う試合を観たくて、その試合を観て明日から頑張ろうと思える自分がいるんだとやっと自覚できた。とはいえデスマッチには一切詳しくないので、ひとつひとつの凶器攻撃に震えあがり、パイプ椅子に座りながらも身をもだえつつ観ていた。

すずの凄いところは、デスマッチでありつつも、きちんとプロレスのムーブを見せてくれるところだ。こんなにも近くでテキーラショットとジャーマンスープレックスを見れるなんて。とくにテキーラショットの華麗さは、モニター越しの何倍もすごかった。

試合中、何度も思い出して写真をがんばって撮ろうとしたのだけれど、ほとんど撮ることができなかった。そんなことをするよりも大声を出していたからだ。


Kobori Akira

IT業界の社会人。最近はプロレスと音楽の話題が多め。
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