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ナオミの夢

2024/11/11

今日は一日通して久しぶりにダメダメすぎて、メンタルもやられるような日。別に何かあったわけではなく、PCの電源が入らず、Wifiも届かず、風邪も直りきってなければ口内炎も悪化して、そもそもちゃんと眠れてないし。と本当に良いことなしの開始だった。結局夕方からギアが入っているが、それが翌日のダメさ加減につながるのだ。きっと死ぬまで同じ後悔を繰り返し、(穏便に死ねるのであれば)死ぬときはきっと午前中で「もっと昨日の夜ちゃんとしていれば」と後悔するはずだ。

仕事はめちゃくちゃ受け身。やることだけやったら、あとは頭の中は動いているものの身体が動くことはついになかった。いちばんやるべきだったタスクを後回しにして、コーディング作業だとかいつやってもよい楽しい作業だけやって時間を潰していたような気がする。


そういえば昨日寝る前に見た山下実優DDTのUNIVERSAL選手権試合が本当に感動的だったので書いておく。あの山下さんはあのリングでしか見れないので、とてもよいマッチメイクをしてもらった。

山下選手は個人的には不思議な選手で、はじめて東京女子プロレスを観たときは、実は印象に残っていなかった。「強い」ということは最初から理解できていたけれど、それはある種「新日本プロレスで十分に楽しんだ」類のものだたので、正直に言えばそれは私にとっては魅力ではなかった。

それが観始めて1年ぐらい経ち、彼女のバックグラウンドやこれまでを知ると、その「強い」というアイデンティティもかなり個性的であるのではと考えるようになった。「感動させてよ」で花火を向けられつつ、里村明衣子と真っ向勝負ができる。そんな選手は彼女の他にいない。

とくにここ最近髪色を赤に変えてからの山下選手は素晴らしく、いそいで応援タオルを買い、いつでも取り出せるように準備している。上述のベルトは今日時点ですぐに奪われてしまったが、きっと東京女子の内外でものすごい試合をこれからもするからだ。


思いつきをINBOXに突っ込みまくっていたので、整理ついでに。

・「ラッセーラ」と「うっせえわ」が同じだと直感したら、「うっせえわ」という曲。 : 田家秀樹ブログ・新・猫の散歩というブログですでに言及されていた。このテーゼが正しいかどうかはともかく、一度話してみたいなと思った。あとそこからネットサーフィンしてたらTAKUROブログという吉田拓郎のブログがあることも知って驚き。

・「本音をエンターテイメントにする」もしくは「エンターテイメントを本音にする」ジャンルが好き。一言でまとめればそういうことだと思う。プロレスとお笑い、あるいはアイドルでも舞台でも。すべての表現はこれにつながる、と言ったっていい。「本音」と書いているし、やっぱり口を使うことは重要なのかも。

・「TAKAYAMANIA EMPIRE 3」の鈴木みのる対高山善廣の興奮を書き忘れているので、せめてここで。こんな癖の人間にそのまま突き刺さる戦いだった。あれから東京女子プロレスの大会に行くたび、会場に出るころは財布に入っている小銭が空になる。


Hedva & Davidの「ナオミの夢」という曲がある。

atticで聴いて以来かなり好きなのだけれど、調べたらかなりカバーされているようだったのでメモ。ブルー・コメッツが素晴らしい。矢島美容室もいつか使いそうな予感。


高見汐珠=ウタちゃんがTiktokでかけていたIUの「dlwlrma」が最高だった。動画のSped Upも良いし、原曲も素晴らしい。他の曲はイマイチそうだなと思って聴いたらやはりそうだった。もっと聴けば、色々発見がありそう。

「ときめきトゥナイト」もなんか知ってるような知らないような、って感じだった。聴いてみたらこれも良い。Z世代みたいなこと言うけど、昔のアニソンって感じ。


ちょい早起きして東京女子プロレスの「TJPW Bright Eyes」を視聴。

第一試合。遠藤有栖&鈴芽のでいじーもんきーが第一試合に出てくると、興行の盛り上がりが格段に変わるように感じる。第四試合。他の選手もそうだけれど、瑞希のキャラクターや可愛さは日本でも世界でも変わらないことを感じた。一切のアジャストがないし、アジャストの無さがこそがみずぴょんって感じ。メインイベント。伊藤麻希が表現者として一流であることを何度知ればよいのだろうか。正確にはアニメの表現であり、必要な表現のための身体操作が完璧すぎる。ダンサーが指の先まで神経を張り巡らしているとするなら、伊藤ちゃんはむしろ逆方向の考えで、デフォルメに振り切っていることがすごいと思う。

セミファイナルは、ザラ・ザッカーと中島翔子渡辺未詩の組み合わせがとてもフレッシュで、攻防のすべてに見応えがあった。大怪獣対ザラのカードは、来年の東京女子の貴重な財産だ。未詩ちゃんのジャイアント・スイングが決まったあとの会場の盛り上がりは興行のピーク。


今日は東京女子三昧ということで、お昼は両国KFCホールで「世界を見渡すけど日本ってやっぱりすごくない!?」を観戦。大会の発表された瞬間に行くことを決意したのだけれど、それは「ここでプレ東京女子的なことをやるだろう」と予想してのことだった。しかしその予想は大きく裏切られた。良い意味でだ。

すべての試合が「いつもと同じぐらい盛り上がったか」と言われれば、そりゃあ遠征組のメンバーも見たくなる。しかし動きや攻防はともかく、どの試合もそれぞれの個性や感情が出ているから試合に入り込める。とくにらく鈴木志乃高見汐珠のアップアップガールズ(プロレス)メンバーは本当にすごいと思う。今日をふくめ、彼女たちの試合を見て「何もなかったな」と思ったことが無い。とくに今日はらくはんの試合もそうだし、締めのマイクに笑ったり愛おしむべきなんだろうけど、ちょっと泣いてしまった(「東京女子プロレスが宇宙人にも知ってもらえるように、(相手チームを見て)今日は敵だったけどこれからも頑張りましょう〜」って書き出してみたけど、文字だと単なるトンチキだ! でもそれが彼女の言葉として出てくると感動するのよ本当に)。

そしてその頂点にいるのが原宿ぽむであり、最推し(?)である前提を取っ払ってもこの結論は変わらないと思う。

ぽむちゃんが入場してから退場するまで、見逃してよい瞬間はないし、入り込めば入り込んだ分だけのリターンが必ずある。忘れないように具体例も挙げておこう。水波綾=アニキの入場曲がかかった瞬間の踵の返し方(このときのアニキコールは大会のピークのひとつだ)、リングから逃亡したあとの連れ戻され方、どちらも涙が出るほど素晴らしい。他にはWRESTLE UNIVERSEのコメント欄に「ウナギアタックは効かなかったあともウナギだったのが良かった」とあったが、まったくもってその通りだと思う。あとはアニキが連続チョップ中に天へ投げキッスをしたとき、その行方を追って見上げている間に最後のチョップを食らっているところとか。

ぽむちゃんの試合やその他の配信を見て感じるのは、彼女のその感受性や反応が彼女の内から本当に生まれているということだ。いったん東京女子の世界観から抜け出すが、原宿ぽむの「永遠の3歳児」という”設定”は「ああー、そういうキャラクターなのね。だからポストが平仮名なんだ」とか「そろそろデビュー6年ですけど、まだ3歳なんですね笑」みたいなパターンや、あるいは「もうここまで来たら素なのかキャラクターなのか分からないですね笑」というパターンでもない。本当に永遠の3歳児なのだ。周りが鼻で笑いもしないぐらい荒唐無稽なウソだと思わせておいて実際は本当だった、というのが正解だ。昔水ダウでやってたホントドッキリに近い構造だと思う。

配信もほぼすべて見るしファンイベントも行けるものは全部行きたいと思っているので、単なる「好きな選手」の枠からは桁外れに逸れているけれど、仮に私がプロレスに興味がなくて単なるお笑いと音楽好きだったとしても、彼女の試合を見たときに「これはすごい人だ」ぐらいは感じ取れるはずだ。


やっぱりブログを書かないと、と思って、とりあえず今日のことを書いている。過ぎた日を振り返れなかった後悔より、今を振り返れない後悔をまず消すべきだ。わかってるんだけど、どうしても難しいんだよなー。

夜はひたすら散歩。なんとなく「1万歩ぐらいは歩かないと」という直感で、歩きながらINBOXを整理をやり、バーミヤンで半額のビールを飲み、ルーティンワークの各ステップを計測して次回に活かすことにして、このブログを書き終わったところ。もしかしたら「スケジュールをパンパンに詰めたほうが今は向いてるんじゃないか?」と思ったので、明日のスケジュールを遊びはもたせつつもバチッと決めたら寝る。


気づいたら1ヶ月も書き漏れていた。

書きたい(というか残したい)ことは多くあれど、そのひとつひとつはほんの小さなことなのだ。集積になってはじめて「書くべきだった」と気づく。齢35にもなってそれは知っているから書こうとするのだけれど、「水は下に流れる」だっけ? 子どもを寝かしているうちに寝落ちしたり、近くで飲んで喋ったりしているうちに1ヶ月なんてとうに過ぎてしまう。

いまのキーパンチも「さすがに書くか!」と思い立って、とりあえず打っている。いつもは「書きたいことが明確になったら書こう」みたいにしているからダメなのだ。桜井政博さんよろしく「とにかくやれ!」という言葉があらためて胸にひびく。書いていない間にYouTubeは最終回を迎えてたよ!


この1ヶ月でかなり変化があったのは、やはり東京女子プロレスがらみで、現チャンピオンの渡辺未詩選手の連日配信をほぼ欠かさず観ていることだ。「単純接触効果だよ」と言われればそれまでだが、配信を観るたびに好きになっている。新サービスのユニバースキャスができたおかげで、東京女子にさらに一歩深くハマりつつある。

今日は連続配信の記念すべき30回目で、入国審査の話やディズニーの話が面白かった。コロナ空けにディズニーへ行ったとき、スタッフたちが手持ちの旗で作ったアーチをくぐったときの多幸感について話していたとき、まったく同じ気持ちを東京女子のリング上で私は感じていることを認識した。「ディズニーもしくはエレクトリカルパレードになる」とよく言っているが、だとしたらもうその目標はクリアしていると思いますよ。


そういえばここ3,4ヶ月ぐらい「23時ぐらいに寝てもかならず27時ぐらいに起きてしまう」という悩みがある。さすがにマズい気がしてきたので、ちょっとだけ暮らしを変えたり薬の力を借りることにする(昨日はさっそく少し寝れた)。

思えば10年以上前にも不眠になったことがあった。そのときは「眠れたけどすぐ起きてしまう」ということはなかったもんなあ。このブログは2013年以降の記事しかないし、昔の消えてしまったブログを探さないと。その頃の記事には不眠の原因や、そのときを笑い飛ばしている自身がまだ生きているはずだ。


仕事はいつも通りに。今週はひさしぶりにコードを触ることになりそう。書きながらテストの勘所や小さなリリースのイメージが前よりも明確に浮かんできた気がする。


最後に。たかが日記だけどテキストを書いてない人間の文章力なんてこんなもんだ。悲しい…。筋トレのように、もっと毎日書いておけばよかった!(笑)


20日も経過すればいろいろある。子どもが「ろんぽす」の立体図を完成させるのを目の当たりにしたり、運動会で恥ずかしがりながらダンスを拒否したり、なぞなぞを出してくれたりしている。

その中でも最近になってやっと近場の飲み屋のネットワークに精通しはじめてきたのが個人的なトピックであろう。もちろん「この街のことなら俺に聞け」なんて言うつもりはない。むしろ「こんな狭い世界なのにローカルネットワークが複数存在するのだ」ということを身体的に知ったことが素晴らしいのだ。「知れば知るほど、知らないことが増える」というテーゼはどの世界でも通用する。

たとえば最寄り駅のミュージックバーはすべて通うことになった。もちろんそれぞれのマスターが素晴らしいことが前提だが、私の「人たらし」としての才能をあらためて感じる。その世界における教養と、アメトーークに代表される芸人の振舞いと、そのふたつに対する謙虚さを持った結果、ほどよくつまらない人間になれることができる。前述の表現は正しくないが、口頭で喋る時間をもらえるなら、本当にお金のとれるプレゼンができるだろう。


とりあえず軽く振り返っておきたいのはNFLグリーンベイ・パッカーズだ。今のところ、ジョーダン・ラブが先発して2敗。控えのマリク・ウィリスが先発して2勝。という実績がとにかくよくない。相手のレベルはあれど、やはりラブで先発して勝つ姿が見たいよ!


9.22は東京女子プロレスのWRESTLE PRINCESS 5。あらためてどのカードも素晴らしかった。東京女子の魅力のひとつとして選手たちとの近さがあるが、それを差し引いても(というかさすがにこんなブログは読まないので)本当に正直にすべて書くと、第1試合からメインイベントまですべてにテーマが設定されており、期待を満たしたり裏切られたり、つまりは最高だったことは残しておきたい。

推しの筆頭である原宿ぽむ、つまりぽむちゃんはマックス・ジ・インペイラーアジャコングとタッグを組んだ。これは絶対に見に行くべきだと思い、ギリギリでチケットを確保して最後方から見守った。ご本人は二度とやりたくないと言っていたが、毎年の風物詩になるべきだと思う。サイン会で本人にも言えるのが素晴らしい。他団体をくさすのはご法度だけれどそれを匂わせてしまうことになるが、見に行くたびに違う景色を見せてくれるのはぽむちゃんと東京女子プロレスだけだ。

そして辰巳リカ渡辺未詩の(もしかしたら旧)白昼夢に対する愛が止まらないことに気づきつづある。とくにリカさんははじめて「俺だけは彼女の魅力を理解している」と思わせるような魅力を感じ(これが批評性を失うとガチ恋になるのだろう。なれればどれだけ幸せだろうか)、いま彼女がたたんでパッキングしたTシャツを着ていることすら運命に感じてしまう。

前述の未詩選手と水波綾のプリンセス・オブ・プリンセス選手権試合は心が震えた。とくにリバースのティアドロップが出た瞬間。もうこの人から白いベルトを奪う選手はいないだろうという確信を持ったぐらいだ。里村明衣子なら奪えるか? いやそれすら真っ向勝負で退けてしまうだろう。


そうだ。ぽむちゃんとらく選手がタイのSETUPに遠征したことも覚えておこう。

この二人の功績というか仕事っぷりは相当すごい。ヘラヘラ見ている人は正しい鑑賞態度であるが、正直もう自分は誤った態度、つまり感動してしまってばかりだ。伊藤麻希=伊藤ちゃんや上福ゆき=かみーゆを見ても思うが、東京女子を見て真っ先に思うのは「ちゃんと自分の仕事に誇りを持って、自分にしかできないバリューを発揮しよう」ということである。スキルアップは必要だけれど、それとは別にあなたが過ごした人生そのものに価値があるのだ。彼女たちの一挙一動からその瞬間を見た途端、私は泣いてしまう。


衝動性というのは恐ろしい。私はどちらかというと計画が好きな人間ではあるが、決まった通りに過ごすことは苦手だ。その日は日曜日だったが、やりのこした仕事が残っており、ジョナサンでそれらをこなしていた。

キッカケは東京女子プロレスの名古屋大会だ。メインイベントは荒井優希遠藤有栖。かなりの名勝負だった。上福ゆみ&原宿ぽむのタッグも素晴らしく(なぜ私が2人のファンなのかよく理解できる入場だった。エントランスに合わせて一方は音楽にガッツリ乗り、もう一方は一切気にせず歩いていた。前者はかわいさの、後者はエレガンスの、それぞれの最高峰がそこにあった)、正直に言って「名古屋に行けばよかった」と悔やんでしまったのだった。

行かなかった理由はひとつで、さすがに2,3万も払って遠征するのはまだ早い気がしていたからだ。しかし「名古屋ってもしかしたら格安で移動できるのかしら」と思い立ち検索してみて、いろんなYouTuberの動画を見たりしているうちに、ふと発想が飛んで「このまま熱海にでも行くべきである」と直感が突き刺さったのである。


衝動性というのは恐ろしい。この時点で17時を過ぎていたが、そのあとの行動は早かった。スマートEXの新規登録をして自由席の切符を押さえ、残り1室のビジネスホテルを予約しながら品川駅へ。こだまに飛び乗ると、到着するまでの40分間で「熱海 夜」の検索結果とGoogleマップをにらみあいながら巡りたいコース(どのお店に行く、ではなくて、どのあたりの道を歩くか)を決めた。

残りの時間はビールを飲んでビーフジャーキーを食べて過ごす。このとき、今日はなぜからくのボトルキャップを持って出かけたことに気づく。精神分析などを待つ必要もなく、出かけた時点で私は新幹線に乗ることを無意識で決めていたのである。

熱海の到着は19時前だった。しかしすでに周辺はほとんど閉まりかけている(飲みながら聞いたり調べたりしたことだが、いまの熱海旅行は昼の間に巡って夜は素泊まりのホテルの中で酒盛りするのが一般的らしい。後述される飲み屋はほとんどが地元の人で埋まっていた)。最高の展開だ。ビジネスホテルにチェックインすると、熱海プリンの看板を横目に、熱海駅から来宮駅方面へ、それからひたすら歩く。

思い出したが、そもそもは「最近”たっぷり歩く”ってやってなかったし、一度やるか」と考えていたことも、この旅行の一因だ。一人でどこか遠くへ行くことの最大の強みはここにあって、誰にも気を遣わずに好き放題、2時間ぐらいは歩きつづけた。おかげで熱海には結構詳しくなった。たとえばGoogleマップで表示される最短経路はアップダウンが考慮されてない。


衝動性というのは恐ろしい。もう時間も21時過ぎで、歩く中で気になったお店もラストオーダーで入れなくなっていた(正確にはラストオーダー30分前ぐらいだった。ただこれは自身の悪い癖だけど、一見が一人で入っても断られるか、あまり良い扱いにならないだろうと推測したのだ。21時ぐらいに一人で来た客が落とす単価っていくらよ? みたいな)。というわけで、歩き回った中で夜もやってるお店を思い出し、そのなかで気になった店へ入ることにした。

酒場ネコノヒトクチ@熱海居酒屋という名前のバーは、土地柄おそらく地元の人が結構通うタイプの店だったのではないかと思う。ちょうどカウンターが空いていたので座らせてもらい、ビールやサワー、地酒を飲むことにした。

最近一人飲みで大事かもと感じるのは「はしゃがずにタイミングを待つ」ということである。「いやー今日はじめて熱海に来ましてね。夜は意外と閑散としててビックリしましたよ! 今日はせっかくだから色々と飲み歩いてみたいんですが、どこか他に良い店あります?」と仮に思ったとしよう。言う必要はないが、もし言いたいとしてもこれはかなり後半にすべきだ。そうではなく、喋りたくなさそうなオーラを出さないようだけ気をつけて、あとは好きに飲んでいればよい。しかるべきタイミングでお店のほうから声をかけてくれたりする。

しかし今回は想定通りには行かなかった。マスターではなく隣に座っていた陽気な観光客が最初の話し相手だったからだ。

「西川口でガールズバーの仕切りをやってるんすよ」と自己紹介したその男性もどうやら熱海に来るのは初めてだったらしい。ちょっと年下の恋人といっしょに来ており、たぶんこの文章を読んだイメージ通りの見た目をしている。一人飲みで大事なのは、ぽむちゃんとかみーゆの歩き方の中間でいること、つまり相手のリズムに完全に合わせることなく、かつ無視するわけでもない、その間をウロチョロすることだ。「アニキも初めてっすか? こっちは熱海に来たらまずプシュッとやって」と何度も繰り返すそのリズムにうまくフローさせる。太鼓の達人ではない。フリースタイルの乗せ方だ。

すると一人常連客がやってきた。どうやらその人は上述の陽キャの店でバイトしていたらしく、もともとその人がこの店を紹介したらしい。たまたま隣になったので、いろんな話を聞いた。熱海にたまたま越してきてからもう20年経つこと、東京に戻ることも検討したが飼っている猫を考えるともう引っ越せないだろうと思っていること、次に行ったほうが良い店のこと(ここではじめて欲しい情報が手に入る)、気になっていた山田湯はぜひ行ったほうが良いことや、洗髪料なんて払っている人はいないこと。


衝動性というのは恐ろしい。店をあがった我々は、そのままオススメされた近くのミックスバーであるBAR69に入ることになった。たぶん23時前だったはずだ(上述のお店のラストオーダーが22:30だったから)。

見取り図盛山と柄本佑にそれぞれ似たスタッフに接客してもらいながら、件の彼らといっしょに歌ったりした。私はいつも通りに「恋」を歌い、柄本佑は(もっと似てる人がいるはずなんだけど、その俳優の名前が思い出せない)いっしょに踊ってくれた。

ここから一気に文章の内容は衰退していく。


衝動性というのは恐ろしい。次に行った店をどのように知ったのかは正確には覚えてない。

一緒にいた常連客は先に返った。件の彼らが店を知るはずはない。華麗な推理がささやくは、おそらく帰る間際にスタッフに聞いてみたのだろう。常連客が教えてくれたスナック(たしか”かれん”って名前のスナック。漢字表記)に立ち寄るももう人でいっぱいだったので諦め、スタッフが教えてくれたであろう熱海 Karaoke Bar 2F カラオケバー ニエフに行く。

ここは衝撃だった。2時間飲み放題で3000円なのに、デュワーズやらジャック・ダニエルズやら結構なウイスキーが取り揃えてあり、毎度しっかり作ってくれる。もしまた熱海に行くことがあれば、絶対に最後はここに寄るべきだとすら思った。

店内はすでに女性客のグループが2つあり、私はカウンターで彼女たちのコンサートを聴いた。一方はおそらく私と同年代ぐらいで、モーニング娘。の初期曲を多めに歌っていて、もう一方は結構若めですこし前のヒット曲を歌っていた。

すべてが最高に進んでいる。まだ温泉も入っていなければ熱海プリンも食べてない。こんなに最高な旅行があるだろうか。

大阪から来たらしい観光客がこちらに席を移動してきた。酔っ払っていたのか、もともとそういう人なのかを判別つけるほどこちらも理性が残ってなかったが、とにかく訳のわからないことをずっと言っていた。最高の時間ではあったけれど、やはり言語のコミュニケーションができないのではスイングはしない。2,30分すると彼は退室してしまった。


衝動性というのは恐ろしい。そのあともお客が入ってくるので席をズレたりしているうちに、たまたま一人で飲んでいる女性と隣同士になった。自分が店に入った前後からいたような気がする。

なんとなしに声をかけてくれ、そのまま色々な話をする。話の半分ほどは記憶からこぼれ落ちているので正確に記述はできないが、このあたりで暮らしていて「色々あった」ってやつだ。ブラックライトの下だけでなく太陽の下でも美人であろう彼女を見るに、色々あったのも事実なんだろうと察する。あと先に書いておくけどビッコマみたいな展開にはならない。


衝動性というのは恐ろしい。とりとめない話をするうちにそのまま盛り上がり、今度は彼女がよく行くバーに行くことになった。不勉強だがマッチングアプリだったら絶対に乗ってはいけない流れだろう(ぼったくりバーに連れてかれる、という話を読んだことがある)。仕事においては信用はしてはいけないが、プライベートにおいては信用するときは思いっきり信用すべきだ。というより何も考えずについて行った。

このバーの名前だけが思い出せない。というかヒアリングすらできていない。ただそこには先客がいて、それが69の柄本佑だった。そして彼女もホームに帰ってきたのだろう。また違う側面が出てきて、それは今日最初に飲んだ陽キャの彼だった。最高だ。この熱海旅行を締めるにふさわしい伏線回収だと思う。

マジカルバナナで1杯、いまだにルールのわからないゲームで2杯、チンチロで1杯テキーラを飲みつつ、この時間だからこそ通じる言語でお互いに会話をしていた。無理矢理にでも伏線を回収するなら、大阪から来た男は私である。


衝動性というのは恐ろしい。この時点ですでに夜は更け、予約したホテルのチェックアウト時間ももう1,2時間だ。

いつかまた会う奇跡を信じて3人は解散し(LINEのやりとりをするリソースが残ってなかっただけかもしれない)、ホテルへ戻る。

ママに連れられて登園した子どもの具合が悪いかもしれないことをスマホで聞く。スマートEXで自由席を予約して一路品川へ。正午を過ぎる前には帰宅。

日常が戻る。衝動性というのは素晴らしい。きちんと日常に戻ってこられれば、というだけである。


子どもがいい人すぎて毎度ビックリしている。マナー啓蒙の絵本を読みながら「この人は電車の中でご飯を食べてるからダメ」「この人は横断歩道を渡ってないからダメ」とか。

極めつけは、今日寝るときに「いっしょにご飯食べていっしょにオセロやって(先日覚えた)、いっしょにお風呂入って、今日もしあわせだったなー」だって。人生を悟ってる?

いつか大きな理不尽や二度と戻れない選択をすることになったりするだろうが、そのときに上記のことを思い出せるだろうか。すくなくとも私も、今日も幸せだった(幸せだった理由のひとつは日記最下部に)。


聴きためてた音楽の話を書けるだけ。

Captain BeyondはTrust Saloon(以前行ってたハードロックのバー)ではじめて教えてもらったが、このバンドのドラマーがBobby Caldwellだとは知らなかった。日本酒を選ぶときと同じくらい綿密に「ヒップホップとR&Bで育った若造で、フィリーソウルやモータウンは知ってる。ただロックの名曲は知らない」みたいな感じで、カウンセリングをしてもらいながら教えてもらったこのアーティストは、たぶんこれからもよく聴くだろう。

八神純子の「黄昏のBAY CITY」をNight Tempoが金太郎飴Remix(悪い表現ではない)。

キャンディーズによるWild Cherry「PLAY THAT FUNKY MUSIC」のカバー。ファンクのインストと歌謡曲のボーカルが混ざらずにぶつかりきってるのが好き。何事も「溶け合ってる」ことが素晴らしいとは限らない。

こっちはすべてが歌謡曲で、完璧の一言。キャンディーズ宮川秦さんの編曲も好きだなー。最初「間の隙間(スキマ)」だと勘違いしていて、なんといいタイトルなんだろうと思った。誤読したキッカケで、これで一曲書けそう。『年下の男の子』のアルバム曲だとわかったので、いつか通しで聴く。

矢舟テツローの「誘惑について」。なんとPizzicato Five『カップルズ』のカバー。調べたら最近の小西康陽のライブでピアノを弾いているとのこと。めちゃくちゃ良かった。たぶん今週はずっと流してるはず。そのまま死ぬまで聴くだろうな。

「もしや他にもカバーが?」と思って調べたらヒットした、Shiho Matsumotoの「誘惑について」。こっちもいいなー。ちょっと世間に寄せている感じ? ちなみに「SEX MACHINE」もやってる。最高かよ。

来生たかおの「夢の途中」が流れてビックリした。セーラー服と機関銃じゃん! どうやらオマージュ? その時代に生きてないと説明できなそうなニュアンスを感じる。

Coco d’Orを最近また聴いていた。「Just The Two Of Us」もいいけど、やっぱりカーディガンズの「Carnival」カバーかな。社内の友人であるKさんに教えたら喜んでくれた。

GENERATIONS from EXILE TRIBEの「I Believe In Miracles」カバー。想像通りの出来でガッツポーズ。ちょっとだけ裏切りが入ってれば名カバーだったんだけど。

別に最近のラッパーではないけど、Central Ceeの「Doja」がちょっとドレーっぽくて良かった。

高村亜留さん、正確には「I’M IN LOVE」をずっと探していた。やっと今日見つけて、めちゃくちゃ嬉しかった。たしかフリーダウンロードの80’s MIXを公開している人がいて、その中に入ってたのだけれど曲名をメモっていなくて、そのまま今日まできてしまった。たぶん高村さんが亡くなる2014年よりも前の話だ。高村光太郎の親族であることも今知った。


あたらしいファンだからこそ楽しめるのは「え、こんな場面があったの!?」と今から驚くことだ。才木玲佳とアジャコングがABEMA(サイバーエージェント、という言葉が30秒ぐらい出てこなかった)の自社ビルで戦っていることは、東京女子プロレスファンからするととんでもないお祭りだ。

渡辺未詩選手の素敵なサインが入ったベースボールTシャツがいつか届く、ということが人生最大の楽しみ。