koboriakira.com

女子W杯決勝トーナメント、アメリカとの決勝戦。日本は 2−5 で負けてしまいました。

これほど「たられば」の多い試合は無いんじゃないか、というような展開で、「3,4失点目がなければ」とか「2点目を入れた後の失点がなければ」とか「菅澤のヘッドが良いところに決まっていれば」とか、色々と妄想してしまいました。とはいえ、準優勝は凄い結果です。今年はアメリカが強すぎました。

面白い場面は少なかったのですが、一応記録としてエントリを書いておこうと思います。

アメリカの攻撃、デザインされたセットプレー

まず全体的な印象として、アメリカのほうが日本より良いプレーを続けていました。いわゆる「球際の強さ」や、とくに日本のプレスに対しての落ち着いたプレーなど、1対1においてアメリカの選手は日本の選手より良いプレーをしたと思います。

それで、今回の試合はまさかの セットプレーで3失点 ということで、あらためてセットプレーの怖さを思い知らされました。たとえば、よく言われることで「現代サッカーの得点の3割はセットプレー」という話があります。

現代サッカーの得点は、セットプレーが30%、カウンターアタックが30%、ミスやアクシデント絡みが20%で、チームのスタイルを発揮したものは20%と、曹は分類している。
“湘南スタイル”でのゴールは2割弱!?スタイルに酔わない曹貴裁と選手達。(2/3) [JリーグPRESS] - Number Web -
ナンバー

また、「セットプレーの重要性。再考 | いいとこ取り! | スポーツナビ+」という記事では、

セットプレーがいかに「デザインしやすい(計画的に行いやすい)プレー」であるか を説明しています。普通のシュートは「常に動いている状態」だから様々な状況が関連するためデータとして処理するのが困難だが、セットプレー(とくにCK)は「ある場所に止まった状態」だからデータも扱いやすい。データとして処理できれば、より確率の高いプレーを計画して行動に起こすことができる。

まさしく今回のセットプレーからの失点は、すべてデザインされたものでした。「アメリカはNFLの国だ。だからデザインされたプレー(セットプレー)と親和性があるのだ」とか言いたくなりますね。

神出鬼没のロイド

1,2失点目は、どちらもロイドに決められました。1失点目は「グラウンダーのボールに、マークのついていないロイドが走り込んでそのまま決める」、2点目は「グラウンダーのボールをニアにいる選手が弾いたところを、後ろから上がってきたロイドが決める」というパターンです。どちらも、

ロイドがマークのつかない場所から走りこんできました。 日本のディフェンスは一歩遅れてしまいました。

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これが1失点目。日本は10人全員が下がって守っていたのですが、ペナルティエリア外から走りこんできたロイドには対応できませんでした。2失点目もほぼ同様。ニアサイドで競わせた後のこぼれ球をロイドに決められてしまいました。

p3 p4 ちなみにどちらの場面でも、ロイドをチェックしていたのは岩清水でした。

岩清水は「立ち上がりの失点は自分のせいで、チームに申し訳ない。ロイドが来るのは分かっていたのに、予想以上のスピードだった」と目を赤くした。
岩清水が大泣き「立ち上がりの失点は自分のせい」 - 日本代表 :
日刊スポーツ

3失点目は自身のクリアミスが原因だったことを含め、彼女の気持ちを想像すると非常に辛いです。

リオ五輪に向けて

という感じで、セットプレーでガッツリやられてしまった決勝でした。しかし、試合の反省点や今後の方向性は「セットプレーを直そう」ではないとも感じました。

というのも、このW杯を見て思ったのは、なでしこジャパンがドイツ大会で見せたようなパスサッカーをどこを国も取り入れようとしていて、

もはやパスサッカーは日本だけの武器ではなくなった 、ということでした。たとえば、自分が印象的だったのが前半23分のシーンです。

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日本のディフェンスが完全に無効化されていた一連のプレーで、とても良かったと思います。日本のプレスがかかっても、それをきっちり回避しながらパスを繋げる。優勝にふさわしいチームのプレーでした。

そういう意味では、 「高い個人技を持ったまま組織力を身につけたアメリカ」にどうすれば対抗できるんだろうか? という悩みが顕在化した試合でした。日本の選手一人一人のレベルアップ、ないしはさらなる組織力の向上。なでしこがこれからどのように成長すべきなのか、答えは一つではないにせよ、何か対策を立てないとマズいことはわかりました。

一度はなでしこリーグも行ってみようか

ただ、その「対策」について、「また4年後の優勝目指して頑張ってくれ!」では済まない、ということも明らかになっています。それは、ちょうど決勝あたりから話題になっている選手たちの待遇です。

なでしこたちの「待遇」は4年前より良くなったか|SPORTSセカンド・オピニオン|ダイヤモンド・オンライン」では、代表選手でもサッカーだけに集中できているのは少ないことが書かれています。そういう意味では、強化のための最初のステップはやっぱり「国内リーグの活性化」なのかもしれません。

週末から、なでしこリーグも再開するようで、東京がホームの「日テレ・ベレーザ」には、今大会で大活躍した有吉や、一番悔しい思いをした岩清水、あとボンバーヘッドの元代表・荒川もいます(笑)。今シーズンは一度ぐらい現地で観戦して、お金を落とそうかなと思います。

とりあえず、ものすごい楽しませてもらいました。 お疲れ様なでしこ!


女子W杯決勝トーナメント、イングランドの準決勝。日本は 2−1 で勝ちました。

オーストラリアとの感動的な準々決勝に続いて、今回は内容こそよくわからないものの勝ちました。相手監督に「日本は世界チャンピオンだ。今夜、その理由が分かった。試合の中で何が起きても踏ん張るすべを見つけてしまう」と言わしめる、これがなでしこです。

何にせよ、なでしこジャパンのサッカーを最大限見れることが確定しました。泣いても笑っても最後の試合。持てる力を全て出してアメリカにぶつかっていってほしいです。

日本・アメリカの予想スタメンと、スカウティング

決勝相手のアメリカは、決勝に勝ち上がるだけあって、基本的は隙の無いチームです。かつ、日本にとっては苦手な部類のチームだと思います。フォーメーションは、下の通り(ドイツ戦参照)。

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攻撃は、4−2−3−1から3−4−2−1に変形して戦うパターンです。以下、「2013年、J1の戦術トレンドのお話 -pal-9999のサッカーレポート」の話をママ引用するような内容になります。毎回このサイトで勉強していますね(笑)。

ちなみに、なんで女子サッカーをこんなに見ているかというと、

女子サッカーって男子サッカーの流行をひとつ後ろで追っているような印象があってサッカー初心者にとっては勉強になる 、というのも理由の一つです。ちょうど男子W杯の1年後が女子W杯になるので、そのように感じるのかもしれません。

アメリカの攻撃

閑話休題。アメリカの攻撃は、下のような3−4−2−1で始まります。 2

このように変形することで、大儀見と大野のプレスを最終ライン3人で回避し、崩しにとりかかります。たとえば、一番典型的な攻めは前半13分にありましたが、

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こんな感じで、相手ディフェンスのプレスを見事に回避して決定機を作り上げました。他のパターンだと、すこし遡って前半8分ですが、

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こうして、最終ラインから一発でモーガンに渡り、ポストプレーでロイドに繋がれたりもしています。さらに23分ですが、

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このように、ボランチの位置に降りたロイドが味方と協力しながら前にボールを運んでいくようなシーンもありました。どれも得点には結びついていませんが、非常にいい攻撃だと感じました。

モーガンのポジショニング、裏を取る動きに注意

ちょっと話が変わりますが、 アメリカの要注意人物はやはり13番のモーガンです。 ポストプレーも出来れば、裏を取る動きも出来るし、少し降りてきて良いポジショニングを取ることも出来る。FWのお手本みたいな存在だと思いました。PKのシーンはモーガンの個人技で生まれましたが、

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このように、相手ブロックの間でボールを受けたので、前を向くことができ、ドリブル突破に繋がりました。日本はモーガンに好き勝手動かせないように、適当な人がマークにつきたいです。

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これとかもそうですね。しかもトラップも上手なので、この後ボールを奪いにきた相手CBをかわしてシュートまで持ち込みました。凄い選手です。

そして、ここまで書いておいてアレですが、肝心の「なでしこはどう守ればいいか?」というのは、 ちょっと検討つかないです (苦笑)。今更フォーメーションを変える訳にもいかないので、とにかく2トップが走り回って少しでもアメリカの最終ラインにプレッシャーをかけるぐらいでしょうか。多少はミスもするので、上手くいけばショートカウンターもできるかもしれません。

アメリカの弱点?

一方で、アメリカの守備なんですが、正直穴があるようには見えませんでした。気持ち、19番のCBジョンストンがハイボールに弱いのかな?

という印象を持ったぐらいです。 もしチャンスがあるとすれば、 アメリカから見て左サイド(日本の右サイド) でしょうか。15番のWGラピノーは、反対側のWGヒースよりかは守備意識が低いので、ときどき戻らないことがあります(でも守備は上手そう)。

p12 別のシーンだと、こんなものもありました。ちょっと意地悪かもしれませんが・・。

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このように、日本は右サイドを攻撃の起点にできるかもしれません。決勝でも有吉のオーバーラップによるチャンスメイクは期待できると思います。

どんだけ活躍するんだ有吉。 ## 頑張れなでしこ!

というわけで、初戦のスイス戦から熱く観戦させてもらいました。

正直、上手くポゼッションしながら綺麗に攻撃をつなげると言うよりは、お互いにボールを奪い合う、いわゆる「攻守の切り替え」とか「球際の強さ」が大事な試合になるのだとは思います。もう少しエモく言い換えれば「気持ちの強さ」や集中力がものを言う試合です。どんな結果であれ、知力・体力を尽くして戦ってくれればと思います。

ありふれた言葉ですが、 頑張れなでしこ! 液晶を通して応援します。


もう2015年も半分が過ぎてしまいました。現在は無職のため、本当に暇な時間を送っているわけですが、おかげさまでバラエティ番組はダラダラと見ることができました。

以下は、2015年前半のバラエティの簡単なまとめです。覚えている順にダラーッと、1時間ちょいで書き上げています。たくさん観てる割には、キーパンチに至ってないものがたくさんあるんですよね。後半はもう少しキレイにまとめたいな。

マイベスト

『内村さまぁ〜ず』「寺門ジモンに5人掛かりで勝利してとにかく黙らせたい男達!!」

まさか『内村さまぁ〜ず』でこんなに笑うとは思わなかったです。失礼を承知で言えば、寺門ジモンが「普通に」面白かった初めての回かもしれない。ジモンの一所懸命さが過度にスカされることなく、きちんと5人とブツかっていたのが良かったのだと思います。

一番好きなのは、後半で上島竜兵が言った「少しコイツが好きになった」。120%同じ意見です竜ちゃん!

覚えている番組

『ナカイの窓』という、中居君によるバラエティ解説番組

一時期、『アメトーーク』などでお笑い芸人の技術や陰の努力が紹介されていたことがありましたが、最近はあまり見なくなりました。ある程度視聴者が理解してしまったことと、そもそも「そんなことより笑わせてくれ」というのが同時にあるんだと思いますが、そんな2015年現在に惜しげもなくバラエティの裏側をどんどん明かしてくれるのが芸人ではなくアイドルであることには、あらためて驚きます。

とくに、「『ナカイの窓』スペシャルで知った中居正広の戦術と哲学」は凄かったですし、ゲストMCが集まる回は絶対に見たほうがいい番組になっています。中居くんの「陰の努力」に対する愛情と恥ずかしさを感れる、バラエティ好きにはたまらない番組。

『水曜日のダウンタウン』、謝罪しても謝罪感が伝わらない説

『水曜日のダウンタウン』、何が起きても笑ってしまう説」でも書きましたが、藤井健太郎のつくる番組には「悪意」がある、ということはよく語られることです。もっと分かりやすく書けば、それはいわゆる「レッテル貼り」だと思いますが、では、何故いまだにニューヨークがこの番組にハマり出していないのかは調べてほしいところ。あと、『チーム有吉』という危険すぎた番組も今年の話です。恐ろしい。

『オサレもん』の勝〜ちの〜こ〜り〜(はできなかった)

「結局、オサレ横綱とは何だったのか?」という疑問が解消されぬまま終わってしまったネタ番組。また、8.6秒バズーカを世に送った番組でもあります。ディレクターは、『レッドカーペット』と同じ薮木健太朗さん。いずれ、シソンヌ、チョコレートプラネット、アキナで何かしら番組をやったりするのだろうか。そして、一番重要なことは、この番組が松岡茉優のバラエティ能力の高さをバリバリに証明した、ということです。

『ネリさまぁ〜ず』のサトミキと愛菜

TBSから日テレに移った、さまぁ〜ずファンにとっては癒しの時間のような番組。面白いか面白くないかはあまり関係なかったのですが(さまぁ〜ずが見れれば良い)、グラビアアイドルのワンノブゼムとして出た愛菜が爆発的に面白かったおかげで名番組となった、なかなか珍しい番組でした。とはいえ、さまぁ〜ずが女子アナや女子タレントを上手く使って、彼女たちの好感度やバラエティ能力を向上させる、というのはよくあることです。愛菜の凄いのは、ほぼ最初からそれが身についていた。

一方、愛菜の裏に隠れていた純アイドルの佐藤美希=サトミキが、番組終盤から愛菜に喰らいついていったところは感動すら覚えるときがありました。私は横浜F・マリノスのファンですが、この日だけは鞠サポを辞めようと思ったぐらいにはサトミキのことを好きになっていました。

『夜の町を徘徊する』のマツコと徘徊する「私」

すっかり<テレビの人>=<有名人>になったマツコ・デラックスが、自身に対する諦めに似た感情も持ちつつ、素人と絡む番組。なので、新しいマツコを見ることができる面白さもあるのですが、この番組をコボリが好きな理由は、出てくる「素人」がすべからく「私」であること。ガラの悪そうな兄ちゃんも、カメラに映らないところから大声でマツコを呼ぶ声も、急にマツコを見つけて驚く彼/彼女も、マツコに会えたことに感動するおばちゃんも、マツコと一緒にカラオケを歌った青年も、その全てが「私」でした。

ちなみに、同番組名で検索すると「“笑う”芸人、“受け入れる”マツコ―『夜の街を徘徊する』感想と考察」が上位に来るぐらいには、まだマイナーな番組です。

『しくじり先生』が「しくじり先生」になる時は来るか?

深夜帯には、杉村太蔵が「うるせぇ」という流行語を作ったり、最終回ではオリラジ中田敦彦に全出演者、全視聴者が立ち上がり「お任せください」と叫ぶなど、確実に2015年のバラエティを牽引する番組。ゴールデンに変わってからもその姿勢は変えず、「ハッピーエンドにしないと出てくれないんだろうなあ先生方」感は若干あるものの、未だに面白いです。個人的にはバラエティ番組というより哲学番組なのだと思っています。中高生にDaiGoの講義を見せてあげたい。

人生とは『LIFE!』である

「内村光良がNHKでコント番組をやる」と知ったときの、われわれの感動は計り知れないものでした。それが今では「あ、見逃しちゃった」と言えるぐらい、日常に溶け込んだことに、あらためて感謝したいです。NHKは「受信料」なんて曖昧な言葉を使わずに、この際、「ウッチャン税」とか「NHKなんで税」とかに変えてほしい(適当)。肝心のコントは、たまに見る人でも楽しめる単発物とファン向けのシリーズ物がいいバランスでミックスされています。

何よりも凄いのは、ここでもウッチャンの「共演者を伸ばす」力が働いていることで、とくにムロツヨシと石橋杏奈はこの番組をキッカケに色んな場所に行くことができそうです。悩み相談でムロツヨシが「喉が弱いんです。どうしたらいいですかね?」とウッチャンに聞いたとき、

「辞めちゃえば!?」 と愛の言葉を投げかけられ瞬間はファンには忘れられません。あと、マモーミモーもやりました。

『さんまのお笑い向上委員会』

「いつ終わるのだろうか」と毎回感じる番組(ポジティブに)。流れ星が出ずに終わった初回は、本当に笑いました。太田光とホリケンのことが100%嫌いな人は絶対に見ないほうがいい。そして、99%嫌いな人は、一度でいいから見てほしいです。好きになる可能性、この番組ならあります。とくにホリケンについては、本当にカッコいい芸人だなと思います。それは『ネプリーグ』というファミリー向け番組を見れば分かるはず。

ちなみに、この番組自体の感想ですが、「27時間テレビの深夜帯のアレを毎週やってる」というのが答えだと思います。だからこそ面白いし、だからこそすぐお腹いっぱいになる。個人的には、2時間ドラマにしてもらって、季節ごとにやってみたらもっと笑えそう。

M-1』の復活(未確定)

なんだかんだで、2015年はこの話に持っていかれるのでしょうか。最大のスカシになる可能性もありますが、全ては準決勝あたりで分かることでしょう。「優しさは失敗のもと―2015年のM-1は成功するか?」で書きましたが、出場資格がコンビ結成15年以内というのはやはりマズいと思います。もう間に合わないのかな。

ちなみに、当ブログ一番の人気記事に「THE MANZAIはM-1を殺した―中川家から博多華丸・大吉まで」があります。長文注意。


女子W杯決勝トーナメント、日本はオランダに2−1で勝ちました。攻め込まれるシーンも、GK海堀のミスもありましたが、宮間が「オランダが日本の良さを消してくるサッカーじゃなく、オランダらしいサッカーをしてきたことで、戦い方としては分かりやすかった」と発言しているように、総じて安心して見られる試合でした。

オランダ戦のレビュー

基本的には、プレビュー記事で書いたことと同様です。ただ、オランダが意外に守備していたことと、とくに大野がFWとして良い働きをしていた(DFラインと中盤の間でボールを受けるプレーが良かった)ことは想定外でした。

また、2点目のゴールの起点になった、チーム全体のプレスと阪口の勇気あるプレスからのシュートは鳥肌モノでした。このW杯を通して、一番綺麗なゴールになるかもしれません。

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前半はオランダのアンカーの位置にいた選手(最終ラインのフォローに入った選手)がフリーになることが多かったのですが、後半では阪口がこれをマークするようになりました。2点目はそのおかげです。ちなみに、もしこのプレスを回避されると、

3 4 こんな感じで前線に送られることもありました。あとは、GKを経由して回避されたりもしていました。

5 6 7 ちょっと試合のレビューから外れてしまっているんですが、このあたりの駆け引きが面白かったです。

オーストラリアの攻撃について

次戦はオーストラリアとやることになります。去年の女子アジアカップで決勝を戦った相手なので、互いに互いを知り尽くしている中での試合になりそうです。これまでのハイライト動画を載せておきます。

アメリカ戦

ナイジェリア戦

スウェーデン戦

ブラジル戦

ブラジル戦はフルで見たのですが、正直に言って、オーストラリアは相当いいチームだと思います。組織的な動きができますし、SBのオーバーラップも積極的ですし、ショートカウンターもポゼッションサッカーもできる。しかも運動量も多い。言うなれば、

なでしこと似ています。 攻撃時には、両SBが1列上がり、ボランチ1人とトップ下がそれぞれ1列下がった3−4−3または3−4−2−1のようになるように、流行をしっかり追ったサッカーをやってきます。

テレビでも「要注意人物」として挙げられている11番のデバンナですが、スピードも決定力もありますが、中に入ってサイドにパスを出すようなポストプレーもできます。鮫島様はまた大変な人とマッチアップすることになりました。

そして、オランダと違って脅威なのが、最終ラインからのフィードです。スウェーデン戦の得点は、右CBからデバンナに直接通って決まりました。ブラジル戦では、左CBも良いパスを前線に出していましたし、左SBも組み立てができるような印象を受けました。右SBはクロスの精度が良いように見えましたし、どこからでもクリティカルなパスが放り込まれてきそうな感じでした。

試合の見所は「スタミナ勝負」と「GK」か

というわけで、これまでの試合の中では最も厳しい相手です。「なかなか手強いな」というような印象ではなく、こちらがチャレンジャーとして勝負したほうがいいです。

また、日本にとってネガティブな要素として、次の試合まで中3日の日本に対してオーストラリアは中5日と、試合日程でも分の悪い状況があります。

というのは、なでしこジャパンもオーストラリアも、きわめて運動量の多いサッカーをやっています。たとえば、今回のオランダ戦。攻撃のチャンスを作れたのは、SBがオーバーラップを仕掛けたからです。反対にオランダの攻撃を防げたのはSHがプレスバックしてSBと一緒にオランダのWGを捕まえたからです。そして、こういう戦術を実行するには、当然ながら長い距離をスプリントすることが必要になります。

オランダ戦は1週間ほど空けて試合に臨めたので、良いコンディションで90分間を戦うことができましたが、オーストラリア戦では後半で足が止まるようなことも予想されます。「勝ちたいという気持ち」だけではフルに走りきることはできません。

なので、佐々木監督の交代策はこの試合のポイントの一つになるでしょう。たとえば、川澄または大野あたりは交代を前提としたうえで60分間ほど全力で走り続けてもらうなど、「スタミナ切れ」で負けないように工夫をする必要があると思います。そうでないと、いつかサイドで負け始めるはずです。

それと、どんな試合でも言えますが、オーストラリア戦以降はGKの働きの重要性がより大きくなります。これは最近自分の中で流行っているだけなんですが、結局のところサッカーはゴールさえ割らなければ負けないスポーツです。となると、GKって想像以上に重要なポジションです。「続、サッカーにおけるGKの話-pal-9999のサッカーレポート」みたいな話もありますし。

実際、ブラジル戦でオーストラリアがゴールできたのは、ブラジルのGKがミスをしたからです。キャッチするなら絶対にキャッチしないといけないが、できずにこぼしてしまったのがゴールに直結しました。今回の活躍を見るかぎり、おそらくオーストラリア戦のGKも海堀になると思いますが、「頼む!」って感じでしょうか。

予想スタメンを考える

ついでですから、GKだけじゃなくて、オーストラリア戦の予想スタメンも考えてみます。悩みどころは「サイドの配置」です。

オーストラリア戦ではお互いに守備をよくするので、たとえば日本のSBがオーバーラップすればマッチアップするオーストラリアのSHはそれに合わせて自陣まで引き返すはずです(オランダ戦はそれが無いから、サイドのスペースを有効に使えた)。自陣まで引き返してくれれば、カウンターを仕掛けようにもスピーディーにはできません。つまり、SBの攻撃参加というのは守備的なメリットも生み出してくれます。

これはお互いに仕掛けてくるはずです。となると、サイドには運動量の多い選手が欲しくなり、左SHには鮫島様を入れるべきかなという判断になりました。なので、自然と宮間がボランチの位置につきます。

残りは全部いつも通りです。というわけで、下のようになります(オーストラリアはブラジル戦のものをママ採用)。もしかしたら、阪口に変わって澤が先発するかもしれません。この日のために澤を温存していたとしたら、佐々木監督は策士です。

myboard

繰り返しになりますが、3つの交代枠が重要です。岩渕は守備もこなせていたし、必ず出番はあると思います。キープ力のある澤が出場していれば、川村も守備固めとして活躍してくれると思っています。

今回の2つのゴールを見る限り、だんだんと調子の上がっているなでしこジャパン。試合を見るたびに色々と勉強できますし、オーストラリア戦も勝って、ひとつでも多く試合を見れることを願います。


安室奈美恵の新作『_genic』が先日発売されました。前作『Feel』から2年経っていますが(『Queen of Hip-Pop』から10年!)コンスタントにアルバムを出し続けていて、毎回楽しませてもらっています。

安室奈美恵 New Album「_genic」 -Trial listeningof…

『_genic』の概要

『_genic』は、一言でいえば「傑作」です。これまでの彼女の作品同様、流行をしっかり取り入れるところは変わらずも、EDMに完全に傾倒した前作『Feel』よりかはポップなものも散りばめたアルバムである、というのが全体の印象でした。

特徴的なのは2点ありまして、1曲がどれも短いこと(半数の曲が3分30秒を切っていますし、14曲入って46分間というのはなかなか珍しい)と、オフィシャルアナウンスでも強調されているように「全て新曲」ということです。そして、この2つの特徴によって、アルバム全体を1曲としてミックステープのように楽しむことができました。このおかげで『_genic』は、シングル優位の現代において、珍しくコンセプチュアルな作品だと思います。

各トラックについては、下の記事が的確なレビューを書かれています。

今から書く自分の記事より愛と理解のあるレビューです(96年生まれの方だそうで、多分女性なのだろうか。和訳記事も面白いです)。 安室奈美恵 / _genic|Tell It 2 Me

ただ、それでも取り上げたくなるハイライトが2曲ありまして、まずは今作唯一のR&Bと言えるでしょう「Golden Touch」。エレクトロ系のサウンドで構築されたR&B;で、EDMが並ぶアルバムの中でも負けないパワーを持っています。久々にかわいらしいボーカルで、昔の安室ちゃんが好きな人にとっては一番入りやすい気がします。というか、コボリはこれを待ってました。w-inds.の「Spinning Around」が元ネタですかね(笑・冗談です)。※動画を視聴する場合は、ぜひ全画面で!

もう1曲が「Fashionista」。今作を象徴する曲だと思いますし、有無を言わさずアガります。「ファッショニスタ」という言葉の意味、響きともに、もっとも「安室奈美恵」的な曲であるとも感じました。

この曲の面白いところは、Aメロとサビ(Bメロ)でビートの種類が変化するところで、Aメロは8ビート、サビ(Bメロ)は4つ打ちになっています。言い換えれば、R&BとEDMを行き来するような曲_でして(Bメロがその中間のような位置づけになっているため、自然に聴ける)、なるほどこの曲はEDM期を経た安室奈美恵だからこそ受け入れられる曲かもしれません。

安室ちゃんが日本語を取り戻す日は来るか?

という感じで、楽曲として見ると本当に良いアルバムだと思いました。

それで、ここからはより勝手な話になるのですが、私見では安室奈美恵は「先端」のアーティストだと思っています。「最先端」ではありません。

安室ちゃんの曲は、どれもちょうどよい「聴いたことない!」感があります。言い方を変えれば、攻めてはいるもののバランス感覚もあり、つねに「カッコいい」ラインをキープしています。

たとえば、「B Who I Want 2 B feat. HATSUNE MIKU」は、タイトル通り初音ミクをフィーチャーした曲なんですが、これなんて上の考え方にまさしくフィットします。別のアルバムですが、『PAST<FUTURE』の収録曲「FIRST TIMER」なんかもこのタイプだと思っています(「FIRST TIMER」は本当にヤバいラップソングです)。

この事にはまったく文句はありませんし、「もっとアブない曲やれ!」とも思いません。 しかし、ひとつだけ今作に不満があるとすれば、極端に日本語が少ないことです(これは最近の安室ちゃんの曲全てに関わるのですが)。たとえば「Golden Touch」はAメロこそ日本語混じりですが、サビは全て英語で、歌詞の意味を理解できずに曲調でしか味わえないところが残念です。

安室ちゃんは、J-POPの第一線にいるアーティスト中でも「歌詞」に力のあるアーティストだと思っています。たとえば、「Baby Don’t Cry」は一部の女子を救うぐらいの力がありました(CanCam女子とか僕とか)。音楽的表現の豊かさと言葉の理解のトレードオフは昔からよくある問題ですが、安室ちゃんに関しては前者を取るべきではないと思っています。

そのような意味で、『_genic』はたしかに傑作であり、僕なんかは楽しいのですが、安室奈美恵の持つ本当の魅力は日本語を媒介することで最大化されるだろう、というエントリでした。


『Blue Blood』のレビューも書きました。よろしければ、下の記事も合わせてお読みください。 w-inds.『Blue Blood』〜ネオ・ファンクの愛撫は長いほど【けっきょく、J-POP】

IMG_0596 (Tシャツは「絶対忘れるな」)

先日、w-inds.のニューアルバム『Blue Blood』の先行予約会に行きました。こちらのイベント、サイン会も兼ねておりまして、「アルバムを予約するとサイン会に参加できる」という、まさにアイドルのイベントでした。

初めての「接触イベント」です。 会場は六本木の泉ガーデンギャラリー。中に入ると、勝負服に身を包んだ女性たち(ティーンからアダルトまで様々)が楽しそうにそれぞれの時間を過ごしていました。おそらく、

われわれ一般男性が一生見ることのできない表情だと推測されます。 咄嗟に「お前は部外者なんだぞ」と自身に忠告し、なるべく彼女たちの邪魔だけはしないようにしよう、と気を引き締めました(アルバムの予約を友人にお願いしてしまったこともその原因ですが)。

緒方くんとの会話

ちなみに、コボリには「緒方龍一」と書かれた紙が入っていました。緒方くん(アイドルなので「くん」のままで行きますが)には当ブログもお世話になっていまして、

ありがとうございます。ベッドで世論調査。http://t.co/ahpHqycX07

— 緒方龍一 (@ryu_winds) 2014, 12月
28

記事みてたら、ニヤニヤしちゃって、スタバで気持ち悪い人になりました。凄く嬉しいです。ありがとうございます。
https://t.co/paAMyMbcf8

— 緒方龍一 (@ryu_winds) 2015, 5月
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本当に恐れ多いのですが、いくつかの記事をシェアしていただきました。一昔前なら想像のできないことです。

で、会場で待つこと1時間ほど。ついに緒方くんと対面することができました。自分の前に並んだ友人がわざわざコボリを紹介してくれたおかげで、「おー、コボリくん!」とハグから始まり、スムーズに会話に入ることができました(というか、知っていただいていることに本当に恐縮してしまいました)。

話は本当に他愛もない内容です。「In Love With The Music」のリミックスをしてみたことや、今年のツアーを非常に楽しみにしていることなど…、えー、こういうレポートは会話全文載せてはじめて意味を持つことは知っているんですが、上手くまとめる能力が欠けてるみたいです(笑)。

ただ、とにかく優しかったこと、鍛えられた肉体だったこと、 いい匂いがした ことだけは皆様にもお伝えしたいと思います(笑・フゼア系の匂いだった記憶)。今回のサイン会の緒方くんの対応はファンから見ても「異例」だったようで、本当にいいタイミングで話をさせてもらいました。

『Blue Blood』が見せるかもしれないw-inds.の「完成形」

で、今日のエントリの内容はもうひとつあります。 サイン会の待ち時間の間、ずっとw-inds.の曲が流れていたんですが、その中で2曲ほど『Blue Blood』の収録曲がありました。

これが本当にいい具合でして、「w-inds.「TIMELESS」ツアー雑感(9/11@国際フォーラム)」でも書いたことなのですが、

w-inds.がどんどん《ヒップホップダンスユニット》としての完成形に近づいている ことに感動を隠せません。

まだ2曲ですから何とも言えないのですが、ミドルテンポのファンキーかつ歌謡曲っぽさもあるトラックは本当にツボで、アルバムの期待感を否(いや)が応でも高めるものでした。このトラックとも関連しますが、最新のw-inds.のインタビューを引っ張りだすと、

橘慶太「ネオ・ソウルファンクといった感じですね。昔っぽくなりすぎると古臭い感じになってしまうんで。やっぱりw-
inds.は常にモダンな感じを大事にしながら常に新しく、現行のファンクなつもりで作りました。 […]
別に僕達が早いというつもりもないですが、今世界で一番メインストリームにいるジャンルをw-inds.らしく表現するっていうのがこれまでの流れでしょうか。」
w-inds.の進化と「世界挑戦への想い」 » ドワンゴジェイピーnews -
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という発言があったりして、一部の人ならガッツポーズしながらご飯が食べられます。ちなみに、このインタビューは彼らの方向性がわかる一番のテクストです。インタビュアー、ライターのお名前が分かりませんが、本当にいい仕事です(とくに「ホーンセクションが入る」ことをしっかり記事に残しているあたり、リスペクトできます)。

とにもかくにも、自分なりに応援していたw-inds.がひとつの完成形を見せてくれそうなことは間違いない、と確信しています。八王子で彼らのアクトを見れることを楽しみにしています。余裕があれば、ツアーでやりそうな曲予想も書こうと思います。