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MeRoomBlues

最近では「高橋維新さんに真っ向から批判をした、馬鹿で野暮ったいサイト」の管理人(昔はこういう言い方をしたもんです)として認知されそうな気配のコボリです。

そんな中、恐縮なのですが、実はラッパー/トラックメイカーだという自負もありまして、今でも音楽は続けております。

で、この度、最新作『私、部屋、ブルース。』というアルバムを公開させてもらいました。前作から3年ぶり、4枚目のアルバムですね。

これまでのアルバムの中で、最も「試験的」と言いますか、「えーい、公開しちゃえ!」感が強いのですが(笑)、それは曲以上にアイデアを世に出したかったからです。とにかく愛情を伝えたいばかりにレトリックが適当になってる、そんな感じでしょうか。

こちらの特設HPから、無料でダウンロードが出来ます。ぜひダウンロードいただけると幸いです。


明日からは、適宜、曲の解説を投稿しながら告知を続けていこうと思います。よろしければ、こちらもお楽しみください。 ジワジワと広まっていくことを夢見つつ。


今年は、「あ、27時間テレビやってたの!!」という驚きから、「さんま×中居」でスタート。こんな事は初めてです。

そんな今回は、面白い場面もたくさんありました。しかし、全てを振り返ったときにまず出てきた感想は、 「たしかに、これはフジテレビ嫌われるな…」 でした。

なぜそのような言葉が出てきたか。それは、あまりにもコントロールのされ過ぎたハプニングにあると思います。

ハメたがる『めちゃイケ』

今回、印象的だったシーンがありました。深夜3時代の「お台場のカイダン本当にあったフジ縛霊の怖い話」で、フルーツポンチがフジテレビ(のスタッフ)に対する不満を紹介したシーンです。一応、簡単にあらすじを記録しておきましょうか。

フルポンがはじめて『めちゃイケ』でネタ見せをするチャンスを貰ったとき、「フリートークがあやしい」ということで、ディレクターのカガリDと綿密な打ち合わせをしました。

しかし収録当日。あまりの緊張からか、打ち合わせをまったく無視したフリートークをしてしまったフルポン。収録後、帰りのエレベータに乗ったフルポンに、カガリDから「あのトークの件は致命的なミスやったけどな」と一言。これが衝撃的だったようです。

とまあ、この内容はどうでもよくて(笑)、本題はこれをテーマにしたフリートーク中にあります。以下、重要な箇所を書き起こしますと、

たむらけんじ「(カガリDは) ハメたがるんですよ。こう来るから、こう、こう…って。
ウーマン村本「めちゃイケのスタッフさんはそうですよ。『こんなボケどうですか?』って言っても、『俺は岡村を知っている』みたいな」フ […]
フルポン村上「実際どうでしたか? そんなにミスでしたか?」
カガリD「まあ、『どっちにいってもウケるでしょう』という、僕の中の想定はあった気がするんです。『絶対スベりようが無いな』って思って、トークも考えてた」
中居「やっぱり、ハメたほうがいいんですか?」
カガリD「どっちいっても一応保険が効いてる、ってほうが芸人さんのために良いかなって。両方イケるように準備してたんですけど…(他の芸人に話取られる)。どっちもイケるはずだったんですけど、『あ、スベるのもあんねや』って印象でした」
フルポン村上「(立ち上がって)いや、スベってはない!」

もちろん笑い話の一つですから、この発言ひとつを取り上げて以降の考察を進めていくのはちょっと極端です。しかし、笑い話で済ませるほどに軽い発言でもない、というのがジャッジです。

ハメられたハプニングは面白いのか?

で、今回の27時間テレビは、その「面白くなるようにハメていく」という『めちゃイケ』ひいてはフジテレビの姿勢が、裏目に出たような気がしました。

言い換えれば、今回の 27時間テレビのテーマである「本気」が、「面白くなるようにハメていく」という姿勢とバッティングしている ように感じたんですよね。

たとえば、27時間テレビの様々な場面を思い出すと、「早朝のフジ本気ロックフェスティバル」の野爆川島。「TED×27hTV」のカンニング竹山、出川哲朗。「テレビのピンチをチャンスに変えるライブ」の「No Limit」無限リピート。 「つまらなかった」とは思いません。

しかし、面白さ以上に「ハメ」の思惑を強く感じとったことは事実です。笑いつつも、ちょっと冷めながら見ている自分がいました。 とくに「No Limit」のシーンは複雑な気持ちで見てました。それなりに面白かったのだけれども、どうしても 「マッチポンプ…じゃね?」 という考えが頭をよぎったり。

裏番組では、奇しくも(作戦か)、イモトアヤコがマッキンリー登山を成功させ、その「本気」ぶりを魅せつけることになりました。

あの日の一般的な視聴者なら、たしかに日テレのほうに気持ちがいくだろうし、フジテレビの姿勢がより悪い方向に捉えられてしまうのは仕方なかったと思います。

震え上がったホンキーマンJr.のプレゼン

もうひとつ、衝撃的だったシーンがありました。というか、このエントリはこっちが本題です。上の話はニュースサイトでも同じようなことが書いてあります。

震え上がりながら聞いたそれは、「TED」での ホンキーマンJr.(寺田心くん) のプレゼンです。

まず、ホンキーマンJr.(以下Jr.)のプレゼン前から恐怖は始まりました。全てのプレゼンが終了した後、中居くんがJr.に訊ねます。

中居「ホンキーマンJr.も何か思うことってあるの? 感じたこととか」 Jr.「うーん?」 中居「言いたいこととかあるの?」 Jr.「どうかな?」
中居「言ってみる?」 Jr.「いや、ムリムリムリ!」 矢部「そりゃそうやわー」 中居「じゃあ止めておこうか? 無理しなくていいんだ」
Jr.「でも、上手くできるか分からないけど、やってみます!」

寺田くんの大御所っぷりも相まって、身体の底から震えが始まりました(笑)。一体何が始まるんだ。 壇上に上がるJr.は、次のようにプレゼンを始めました。

皆さん、こんにちは。ホンキーマンJr.です。
ぼく、今日はほんとうに楽しかったです。テレビを見てこんなに笑ったのははじめてです。テレビのお仕事でこんなにも笑ったのもはじめてです。
だからぼくは、みなさんのプレゼンを聞いてわからなくなりました。 ほんとうに、テレビはピンチなんですか?

「止めて! コボリのライフはゼロよ!」でしたっけ? そんな感じで死にそうになっているところに、Jr.は畳み掛けます。

岡村さん。おちゃらけてなんかいないですよね。 なんだかスゴく一生懸命なの伝わりました。
竹山さん。写真、出てくるたびに笑っちゃいました(注意:写真は、FLASHがスッパ抜いた竹山の不倫のやつ。裸の写真)。
テレビに限界なんて、無いんですね。 淳さん、それから亮さんも。 ドキドキするテレビ、ありがとうございました。
(ここで泣けるインストが鳴り始める) (ホリケン、光浦にもコメントを投げかけて、) 劇団ひとりさん、ザキヤマさん。 超ウケました。 出川さん。
ほんとうに、ほんとうに面白かったです。 だからぼくは、皆さんのプレゼンを聞いて、 テレビは今ピンチじゃなくてチャンスなんじゃないかな
、と思いました。 だって、今日のこのTED、最高に面白かったから。 これからも、 皆さんの力でもっと、もっとテレビを面白くしてください。
ぼくのプレゼンは以上です。ありがとうございました。

この後に、加藤浩次とのやり取りもあったりするんですが、ちょっと精神力が切れかかってきたので止めます(笑)。

「ハメ過ぎ」の極北。あまりにピュアすぎるバラエティ

正直言って、かなりヤバいと思いました。巷で言われる、フジテレビの 末期感 みたいなのが出た瞬間でもあります。 当たり前ですけど、

このプレゼンは寺田心くんが考えたものではありません(俺は見切ったぞ!)。 バリバリにフジテレビのスタッフが作ったものです! つまるところ、この_ホンキーマンJr.のプレゼンは、フジテレビからフジテレビへ送った、自己肯定のラブレターです。_ 「お前、良い男だよな」って手紙を瓶に詰めて海に投げて、満潮で回収して読み直すような、そんなホラー感さえあります。

「面白くなるようにハメていく」ということをピュアに進めていった結果、フジはここに辿り着きました。

ちなみに、上のようなシーンはもうひとつありました(ホンキーマンほどではありませんが、両手両足ぐらいは震えました)。

それはグランドフィナーレの終盤。司会を務めたナイナイと中居くんの3人の誰もが、視聴者以上に、スタッフや出演者に対してコメントをしていた場面です。

「あれ、打ち上げも放送されるのかな?」と、まさかテレビを観ていてこの種類の疎外感を感じるとは思わなかったです(笑)。

これでフジテレビを嫌いになるほど単純にはできていませんが(笑)、あまりにもピュアすぎるその姿勢に苦笑を混じえざるを得なかったことはったと思います。

本当のピンチは、この27時間テレビで始まりを迎えた。そう語られる日がいつか来るかもしれません。


レコメン度:★★★★☆

  1. Beyond The Blue World
  2. In Love With The Music
  3. Show You Tonight
  4. LOUD
  5. I’m all yours
  6. CANDLE LIGHT
  7. Cat Walk
  8. This is the Life
  9. The Right Thing
  10. 134
  11. TIME TO GETDOWN
  12. FANTASY

(太字は良かったトラック)


w-inds.の11枚目のフルアルバム『Blue Blood』が7月に発売されました。 デビュー15周年という節目を迎えたw-inds.ですが、最近はその音楽性を評価されることが増えてきました。前作『Timeless』は、非ファンからのチアーも多かったかと思います。

かくいう私も『TImeless』は彼らの最高傑作だと思っていまして、今回の『Blue Blood』には「それを越えるのかどうか」という心配は多少なりともありました(先行シングル「FANTASY」、「In Love With The Music」がどれだけ良くても、です)。 しかし、蓋を開けてみると、『Blue Blood』は素晴らしいアルバムでした。いわゆる「スルメ曲」が多く、聴けば聴くほどハマっていきます。 以下、インタビュー記事などから『Blue Blood』の音楽性をまとめつつ、個人的な考察も入れていこうと思います。

「ネオ・ファンク」とは? 『Blue Blood』の下地を整理する

今回のアルバムの告知で、w-inds.がしきりに公言している言葉があります。 「ネオ・(ソウル)ファンク」 です。

自分なりに説明させてもらいますが、「ネオ・ファンク」は彼らの造語だと理解するのが適切かと思います。つまり、「ヒップホップ」とか「トランス」とか「音頭」みたいに、誰でも共有できるようなワードではありません。

いくつかインタビュー記事を引用して、意味を解読してみますが、

-『In Love With The Music』はソウルファンク的なアプローチです。
橘慶太 ネオ・ソウルファンクといった感じですね。昔っぽくなりすぎると古臭い感じになってしまうんで。やっぱりw-inds.は常にモダンな感じを大事にしながら常に新しく、 現行のファンク なつもりで作りました。
-ファンクの新しい形。
橘慶太 そうですね。やっぱり音楽も時代で巡っていきますけど、巡る中でも新しい要素が加わってることが大事だなと思って。
-世界的にもソウルファンクをベースにしたものが流行ってます。
橘慶太 ダフト・パンクの『Get Lucky』くらいから、みんなやってますね。
w-inds.の進化と「世界挑戦への想い」 » ドワンゴジェイピーnews - 共有する音楽情報

ダフト・パンク(Daft Punk)の『Get Lucky』は、2013年に発表されたヒット曲です。今聴いても、メチャクチャに良い。

同じ記事からもう一つ。

橘慶太 僕の母親がDJだったんで、そういうソウルファンクが僕のルーツだったんです。ずっとアース(アース・ウィンド・アンド・ファイアー)とかを聴かされて、好きだったんで。ディスコとか。ルーツがそこにあったんでずっとやりたいなって思ってて。

Earth,Wind & Fireは、たとえばこんな感じです。有名どころから2つ(本当は「September」なんですが、下の2曲のほうが雰囲気が伝わると思います)。

ざっくりとまとめれば、『Blue Blood』は、上のEarth, Wind & Fireのような曲を祖先としつつ、そこに現代的な音(打ち込みやシンセサイザー)や他ジャンルのアイデアが混ざった、ハイブリッドなアルバムだと言えます。

ただ、これで済ませてしまうと、ほんの少し楽しみが減ってしまうかもしれません。体力があれば、「ネオ・ファンク」の「ファンク」について、ちょっとでも知っておくとより楽しくなるはずです。

「ファンク」をサラッと習ってみる

前述の通り、 『Blue Blood』をもう少しハッキリと捉えるためには、「ファンク」をちょっとでも知っておくと楽しめます。

で、「ファンク」の歴史うんぬんは全て排除して、音楽的な面のみを整理して伝えると、次の3点になるかと思います。

  1. 同じパートをループしながら進む2. リズムにハネがある(16ビート)
  2. 独特のコード進行コード進行はマニアックな話になるので、とりあえず上2つに絞って説明します。

ファンクは、同じパートをループしながら進む

「ファンク」と言うと、避けて通れない存在がいます。James Brown(ジェームス・ブラウン)です。下の「Sex Machine」は、そんな彼の代表曲。

曲名や彼のダンスに惑わされず、曲だけに集中してみてください。すると、この曲がずっと一定のパターンを繰り返していることに気づきますでしょうか。ギターだけ聴くとわかりやすいです。

あなたが一度でも楽器を弾いたことがあるなら、1曲を完璧に弾きこなすのがどれだけ大変か知っていることでしょう。しかし、ファンクであれば、たった1小節さえ覚えれば、バンドに参加して名声を勝ち取ることだって出来るのです。

『Blue Blood』で言うと、「FANTASY」は「Sex Machine」のパターンに一番近い曲です。2小節単位で、ずっと同じことをやっています(これもギターを聴くとわかりやすい)。

近田春夫先生が週刊文春で連載している「考えるヒット」というJ-POPの評論コーナーで、「FANTASY」が取り上げられたことがありました。

曰く、J-POPには「FANTASY」のような単純なループで最初から最後まで進む曲は少なく、「遅かれ早かれ花開くように大仰な展開をして熱い熱い盛り上がりを見せる」のがJ-POPなのだ、と指摘しています。

「遅かれ早かれ花開くように大仰な展開」というのは、**感動するようなコード進行に、バイオリンとかの弦楽器がどんどん絡んでいってバーッン!**みたいな(笑)。伝わりますかね…。今日は最高のデートをしてウットリしたけど、明日は大喧嘩をして号泣。その翌日は仲直りして熱い夜を過ごしたけれど、その翌日に彼氏に浮気の噂が立って不安に落ちる。でも最後はアタシ幸せ! みたいな感じがJ-POPのイメージです(笑・もちろん偏見も入っています)。

一方で、「Fantasy」やJBの「Sex Machine」は、あるパターンの繰り返しです。そういう意味では、上のような熱い盛り上がりはありません。毎日がほとんど同じで、デートと言えばいつも散歩しながら喋るだけ、みたいな(例えのほうが楽しくなってしまう)。

しかし、こういう曲にも強みはあります。それは、 繰り返しによる「ジワジワとした盛り上がり」と「演奏者の自由」です。

「ジワジワとした盛り上がり」については、さきほど「1小節さえ覚えれば」という話をしました。これ、リスナーも同じで、パターンさえ掴めば、あとはずっとこれに乗りながら楽しめば良いわけです。

外から腕組みして聴いていると、退屈な繰り返しに見えてしまうかもしれません。しかし、一度でも曲に合わせて身体を動かしてみると、この繰り返しがどれだけエネルギーを持ったものか分かると思います。

子供が面白いゲームを覚えたら何百回でもやるのと同じような、 永遠にこの曲で踊っていたい! みたいなエネルギーがファンクにはあります。

散歩しながら喋っているうちにどんどん盛り上がって、結果として最高のデートになる、みたいな感じですかね(笑・もう止めます)。

そういう意味で、今回のアルバムは非常にライブ映えする曲が多く、ライブでこそ真価をハッキリする曲が多いと思います。すでにツアーが始まっていますが、「生で聴いてノってみたらめちゃくちゃ良かった」みたいな事が多発するはずです(恋愛の例えが使いたくなる)。

「演奏者の自由」というのも同じで、ずっと同じ繰り返しが根底に続くわけですから、演奏者はそのパターンを守りつつも、ちょっと変化を加えたりして楽しむことができます。修学旅行の夜、先生の見回りが一定のパターンだと分かれば、安心して大声出せるようなもんです(笑)。要所さえ抑えればあとはその場次第で遊べる。

こんな風に考えると、原曲は3分強の「FANATSY」も、ライブなら10分、下手したら20分ぐらい繰り返しても楽しく遊べます。そういう強さが「FANTASY」や『Blue Blood』にはある訳です。

ファンクは、リズムにハネがある(16ビート)

無駄話が長くなってしまいました。もうひとつの「ハネがある」というのも重要です。

16ビートというのは、下の音源のように「ドツツツ┃タツツツ┃ドツツツ┃タツツツ」と細かくドラムが刻まれたリズムのパターンです。音(文字)が16個あるから16ビートです。

16個の音を使うので、複雑なリズムのパターンを作ることができます。

一般的なリスナーであれば、ある曲が何ビートになるのかはとくに気にしなくてもいい、というのが個人的な感想です。しかし、「ハネ」については分かっておくと絶対に音楽が楽しくなります。

もう一度「ドツツツ┃タツツツ┃ドツツツ┃タツツツ」に戻して、「ハネ」を説明します。 「ハネ」を作るのに必要なのは、「ド ┃ タ ┃ ド ┃タ」の太字の箇所です。4つを1まとまりとしたときの、2つ目と4つ目です。

この箇所を、さっきより遅めのタイミングで叩きます。そうすると「ハネ」が生まれてきます。ちょっとキツめに表現すると下のような感じ。

「ドツツツ┃タツツツ┃ドツツツ┃タツツツ」という配置は同じでも、体感するリズムが全く違うことが分かると思います。さっきの複雑なパターンも「ハネ」させてみましょう。

このように、『Blue Blood』、ひいてはファンクは、この「ハネ」が特徴です。音楽用語だと「裏」とか「裏の裏」とか言わてるはずです。 というか正直に言うと、ほとんど全ての楽曲で「ハネ」は使われています。 その強弱がそれぞれあります。『Blue Blood』はボーカルを含めて、このハネをしっかりと打ち出してます(久保田利伸は、これがものすごいボーカリストです。最新作、本当にヤバかった。「Cosmic Ride」は小学生に歌わせたほうがいい)。 この「ハネ=遅めのタイミング」を使いながら、さらに抑揚(音の大小)をつけて叩きなおすと、こんな感じになります。ノレるようなリズムになっていると良いのですが…(笑)。実際は、このドラムに絡みつくようにベースも乗ったりして、さらに良い感じになるわけです。

ネオ・ファンクな楽曲たち

えー、やっとアルバムに戻ってきました。 上のような「ファンク」の構造が分かってくると、彼らの言う「ネオ・ファンク」というのが、もう少し細かく理解できます。

つまり、ファンクの構造(ループ、ハネ)を持ちつつも、各パートで音の足し引きがあったり、ちょっと違うパターンに飛んだりするようなのが「ネオ・ファンク」である、ということです。 たとえば、 「Show You Tonight」 などはその典型的な例だと思います。(※ぜひアルバムを借りてください! いや、買ってください!)

「Show You Tonight」は、Aメロがファンクになっています。そして、Bメロの龍一&涼平パートでEDMっぽいシンセや音に様変わりします。 ちょっと前のw- inds.であれば、サビは『MOVE LIKE THIS』のようなEDMっぽい、アッパーなサビになるはずです。しかし今回のサビは、ここでEDMに展開せずにもう一度Aメロに似たファンクに振り戻します。

個人的には、この瞬間にライジングプロダクションの方角にガッツポーズしました。本当に素晴らしいです。上の「FLY HIGH」は、これと真逆のタイプです。AメロやBメロはずっとファンキーな(繰り返しのある)パートですが、サビで一気に扉が開くというか、一気にポップになります。もし『Blue Blood』風に「FLY HIGH」をやるなら、Aメロのトラックを流したまま、サビを上手く作ることになります。 「LOUD」 も「Show You Tonight」のパターンに近いですね。Aメロでパターンの提示をして、Bメロで展開させて、サビでまたAメロと同じ土台に戻る。そう簡単に泣かせにかからないというか、ジワジワと攻めてくる感じがあります(恋愛の例えを使いたくなりますねー)。

この**「ジワジワ感」**、今回のアルバムのテーマになると思います。

「アゲアゲ」でもなけりゃ「サゲサゲ」でもない。いい塩梅をキープしながら進んでいく。これをJ-POPでやるのって、本当に難しいし、勇気があります。近田先生の言うように、「遅かれ早かれ花開くように大仰な展開をして熱い熱い盛り上がりを見せ」たくなるんですよね。

王道的ソウルファンク「I’m all yours」

それで、このジワジワ感を解放してくれるのが、今作のハイライトとも言える曲 **「I’m all yours」**です。「これぞネオソウルの王道!」と言わんばかり。Musiq Soulchild好きなコボリにとっては、一発でした。というか、アルバムのサイン会で流れてた時から胸アツでした。(※アルバムを買ってください!)

ドラムのハネ具合、それに絡まるベースライン(とくにハネの位置でのスラップとか)。浮遊感のあるエレピとワウのかかったギターによるオシャレなコード進行。アクセントをつけるシンセ。サビになるに連れて顔を出してくるホーンセクション。どれをとっても最高です。在日ファンク以来かも。

この1曲だけでも十二分に素晴らしいのですが、この曲が本当に映えるのはそれまでの曲を聴いた後です。前述のジワジワとした盛り上がりをたくさん溜めてから、「I’m all yours」に入ると、それまでの溜めが解放されるかのようなカタルシスがありました。

緒方龍一、千葉涼平による絶妙なアクセント

『Blue Blood』の、もうひとつの特徴として「緒方龍一、千葉涼平によるボーカルの参加が増えた」ことも挙げられると思います。またインタビュー記事からですが、

――涼平くんが「ボーカル面でも」と話しましたが、今作では龍一くんと涼平くんがリードボーカルを務める曲が格段に増えましたよね。
慶太:僕は昔からずっとふたりには歌ってほしかったですからね。そんな願いも込めて。
涼平:数年前からもう3人ともバラバラですけど、慶太は僕ら3人が一緒に住んでた頃からずっと言ってましたからね(笑)。
慶太:少しずつでも構わないから、ふたりのパートを増やしたくって。しかも、龍一くんも涼平くんも、すごく特徴的な声をしているので、「この曲は龍一くんが映える曲だ」とか「あ、こういうスタイルの曲は涼平くん、きっと苦手だろうけどあえて挑戦させよう」とか、そういう考えも浮かんできますからね。
涼平:ちょっと、初めて聞いたんだけど、それ(笑)。でも、『MOVE LIKE THIS』の頃は、「少しでも慶太を引き立てることができれば」って思って歌っていた部分もあるけど、今はそこにも自信がついてきたというか、変化は起きました。
僕と龍一くんのボーカルで、また違ったw-inds.らしさを感じ取ってもらえたらうれしいですね。
w-inds.が語る、J-POPの新標準「“失敗する”というイメージがまったく沸かなかった」 - Real Sound|リアルサウンド

結果から言うと、千葉様の言う通りでした。 「LOUD」の涼平パートは、たしかに橘慶太でなく千葉涼平が歌うべきですし、「Cat Walk」のサビ後半も2人が歌うのが正解だと感じました。 とくに「The Right Thing」の龍一ラップパートは、「え、え、どうしたの?」って言うぐらいヤバいです。遅いビートにたくさんの言葉を詰め込めばある程度カッコよくなるのは自明なのですが、そのまんま遅いラップを乗せてもカッコいいのは、発音やメロディの取り方やアクセントなど、色々とキメないといけない箇所があります。これをクリアしてるんですよねー。いわゆるヒップホップ的なラップではないかもしれませんが、なるほど15年のキャリアというのはやっぱり凄いです。

「完成形」であり、「再スタート」でもある

という感じで、ちょっととっ散らかった部分もあるかと思いますが、なるべく音楽的な面を取り上げてレビューをしました。

w-inds.を初めて聴く人にこのアルバムをパッと勧められるか? となると、もしかすると『Timeless』のほうが分かりやすいのかもしれません。

しかし、少なくとも(EDMに限らず)ダンスミュージックが好きな人には、このアルバムは激プッシュです。

---最後に、いつもの大好きな妄想タイムです。 昨年末書いた「w-inds.概論―w-inds.の最近の変化を5,000字で」というエントリでは、下のように締めています。

ザッとまとめると、w-inds.は「ヒップホップ」の「アイドル」であるところからスタートしましたが、途中でこの肩書きを「世界標準(のダンスユニット)」に書き換えようとしました。
しかし、最終的にはもう一度「ヒップホップ」と「アイドル」に戻ってきたわけで、その道のりが『Timeless』のツアーや「FANTASY」に強く反映されていると感じています。
w-inds.がこれからどんな曲をやるか、正確には特定できませんが、ぜひともこの方向を続けてみてほしいと思います。
あるいは、今こそ初期作を録り直したりすると、彼らがたどった道のりがどのようなものであったかわかるかもしれません。

『Blue Blood』は、上のようなテーマから捉えると、彼らの活動の「完成形」に近く、「これぞw-inds.」というような音楽を作り上げたアルバムだと思います。

しかし一方で、実はこのアルバムは彼らにとって「新しい試み」でもあるように感じました。そういう意味で、コボリは、今作の評価以上に、次作の期待感が強くなっています(気が早いですが)。

もちろん、このアルバムが彼らの全力を出し切った成果であることは明確です。ただ勝負は全力を出した後です。「出しきった。終わった」となるか、「出しきった。ということは、次はどうなっちゃうの?」となるか。『Blue Blood』は後者に繋がるアルバムだというのが判断です。

また、「今こそ初期作を」という気持ちはまだ強くて(笑)、実現味はまったく無いですが、少なくともライブではいくつか披露されるはずです。で、それが実のところ『Blue Blood』を経た彼らの裏テーマになるとさえ思っています。 過去にも、『Blue Blood』の要素を感じさせるような楽曲はありました。ファンク系で言うなら「Spinning Around」とか「Song 4 U」とかはその典型例ですし、ソウルっぽい曲なら「Give you me heart」とか「Don’t Remind Me」とか(思い浮かんだ順に書いてます。もっと適切な例があるはず)。 『Blue Blood』を通過した彼らが、『Blue Blood』的な過去曲を演じるとき、そこにはハッキリと彼らの「進化」が見てとれるはずです。 というわけで、ライブが待ち遠しくて仕方ありません。私のToDoは、いくらかのお金と、丈夫な腰を準備しておくだけです。

(備考)twitterのまとめ

アルバム初視聴時の感想を書いていたので、蛇足ですが貼り付けておきます。shungo.先生を待望している(笑)。

(1)Beyond The Blue
World:協会風のコーラスから軽快な4ビート(8ビートか?)に入る、1曲目にふさわしい曲。裏で入ってくるベースが気持ちいい。橘慶太のボーカルはちょっとレベルが違う。ビブラートを入れてほしいところと、入れずに歌いきってほしいとこの区別が完璧。

— コボリアキラ (@kobori_akira) 2015, 7月 7
(2)In Love With The
Music:最新シングル。言わずもがな、16ビートのファンキーかつアダルトな1曲。サビのコーラスの処理が面白くて、「Don’t Stop it(Keep
rockin’)」の箇所が、真ん中から始まって左右に広がっていくところが気持ち良い。

— コボリアキラ (@kobori_akira) 2015, 7月 7
(3)Show You Tonight:Nu
Discoみたいな4つ打ちから、BメロでEDMっぽくなるのだが、サビでもう一度ファンクに戻すあたり、まさに2015年のw-inds.だ!!
「FANTASY」のような「かわいさ」も盛り込んであり、このバランス感覚にあらためて驚く。

— コボリアキラ (@kobori_akira) 2015, 7月 7

(4)LOUD:「あれ、shungo.先生?」と思ったらKAMIKAORU先生だった。イントロのボーカルと同じメロディでシンセでループさせた、いわゆる「ループ物」が土台。サビ前の龍一&涼平のパートは、ご飯食べれるやつだ。サビの歌詞をバカ丁寧に載せてくれるレーベルにもリスペクトを。

— コボリアキラ (@kobori_akira) 2015, 7月 7
(5)I’m all yours:Ryosuke Imai先生! そしてMANABOON先生! 最高です!!!!
シティポップが土台なのだが、シンセの音作りが曲のテーマを反映していて甘い! サビに入る前の「so lets get 〜」のウラ!
これ、ライブで泣いちゃうやつだなー。

— コボリアキラ (@kobori_akira) 2015, 7月 7
(6)CANDLE
LIGHT:前曲から流れで聴くと、かなり感動してしまった。ピアノ1本で歌い上げるバラードが苦手なのだが、これはちゃんとグルーヴがあって良い。「あなたがほほ笑む場所」のラインとか、これまでのw-
inds.のバラードでは無かったタイプじゃないだろうか。

— コボリアキラ (@kobori_akira) 2015, 7月 7
(7)Cat Walk:このタイプもやるのか!! EXILEの「Super
Shine」と似た種類なのだが、リズムはヒップホップ。すでにドラムブレイクで涼平が踊る姿しか見えない。サビの後半でエレピが入り音数が増えるところは、今回のアルバムの一番盛り上がりになるかも(暫定)。

— コボリアキラ (@kobori_akira) 2015, 7月 7
(8)This is the Life:おおダブステまで!
個人的には2015年版「ブギウギ66」だろうか。慶太の作詞は誰から影響受けてるんだろう。真面目に話すと、「複数のジャンルを1曲に落としこむ」ってのが『Blue
Blood』のキモなんだろうな、と感じました。

— コボリアキラ (@kobori_akira) 2015, 7月 7
(9)The Right Thing:マジかよ!!!!! Ryosuke Imai先生!!!!
Drakeをアイドル的に解釈するとこうなるんすか。龍一のラップがここで爆発。最初の入り方、そして最後の「彼方えェイー」の部分、最高です。もしやアルバムのハイライトだったりして・・。

— コボリアキラ (@kobori_akira) 2015, 7月 7
(10)134:タイトルは国道の番号から。 http://t.co/dX6NAt7DHZ これが残ってたか!
文句なしに最高のリゾートソング。ドラムとベースとボーカルがリズムを作り出しているのだが、凄い気持ち良い。あと、地味に同名のAKIRAさんの歌詞が良い仕事してる。

— コボリアキラ (@kobori_akira) 2015, 7月 7
(11)TIME TO GETDOWN:「shungo.先生?」と思ったらKAMIKAORU先生でした2曲目。正統派ディスコはまだやってなかったなー!
4つ打ちにシンセベース、ワウギター、カッティング、ホーンセクション、ときたら踊るしかない。何でもアリじゃないですか!!

— コボリアキラ (@kobori_akira) 2015, 7月 7

(12)FANTASY:最初にトラックリスト見た時、これが最後に入ってる時点で名盤になるのは確信してました。自分がプレイリストを作ることを想像してみると分かるんですが、この曲をラストにするってかなり難しいと思うんですよね。曲はループ物を土台に展開するパターン。ラストのベースが粋。

— コボリアキラ (@kobori_akira) 2015, 7月 7


歓喜の瞬間 新おねえさん あうんの呼吸 テツオの数奇な運命 キスがうまいだけ 何かあったな 突き詰めると 店じまいイカ大王体操プロジェクト

毎週やっていて見逃しがちですが、「ウッチャンがコント番組をやってる」のは泣くほど嬉しいことです。

そして、やっているだけでも嬉しいんですが、人選には脱帽する限りです。

まず、ココリコ田中、ドランク塚地が面白いのは勿論。中でも、ココリコ田中はまさしく「コントをするために生まれてきた」かのような活躍ぶりで、「囲み取材」の斉藤さんは何度見ても(見れば見るほど)爆笑してしまいます。

もちろん、塚地も芸人の少ない『LIFE!』の中で、芸人であることを最大限発揮していて、大好きです。イカ大王の歌声はちょっと感動できるレベルです(しょーもない抗議で潰れてしまいましたが、そもそもブサンボマスターで彼の歌唱力は確認済、であります)。

女性陣では、石橋杏奈が見るたびに面白くなっています。また、その影響を臼田あさ美も受け、相乗効果のようなものが画面を通して伝わってきます。また、2人にはできない人物を、西田尚美がしっかりカバーしたりしていて、完璧です!

「変わらぬ関係」の西田さんは美しすぎて震える。

これまでのコント番組は、最低でも一人はブスを入れることがほとんど(つまり、ブスイジりをしている訳)でした。

しかし、『LIFE!』はそれを回避することで、むしろより多くのキャラクタを描けています。ここ、『LIFE!』の最大の魅力であり、ウッチャンが座長を務める魅力でもあると思うんですよね。

男性陣はと言うと、星野源はヘンに気張ることなく雰囲気を維持したままコントをやっていて、それがものすごい好印象。もっとお笑いに前のめりになったり、芸人に対して負けん気を出したりするのかな、と思ったのですが。スポーツで言うところの「チームに貢献することを第一に〜」という感じがあります。言い換えれば、「星野源」自身のセルフプロデュース感が全くなくて大好きです。

また、星野源以上に輝いている(最近、すこし抑え目にはなりました)のがムロツヨシ。トークコーナーで、ムロツヨシからウッチャンに「『ガラスの喉』と言われるほど喉が弱い。どうすればいいですか?」と質問したことがあります。これにウッチャンが「役者辞めたほうがいいんじゃない?」と返したとき、全内村光良ファンがガッツポーズをカマしたことでしょう(笑)。芸人以外でウッチャンに「辞めちゃえよ!」って言われた人、見たことなかった。

---「歓喜の瞬間」 は、これぞ『LIFE!』という、誰も傷つかないコント。イカ大王でも見ることができますが、塚っちゃんの動きはやっぱり面白い。言い方も面白いし、センスもあるし、最強の芸人の一人。後半、「ちょっとアドリブ入れてる?」と思うような、味方とのパフォーマンスのズレもクスクスくる。

ウッチャン、組体操は下に入るんだ。 「新おねえさん」 は、点検スペシャルのせいで ノソノソ(ウッチャン)の足元しか見れないですが(笑)、臼田あさ美の良いところをちゃんと見れる、好きなコントです。キツい顔をさせるなら、絶対に臼田あさ美だと思うんですよね。性癖の問題かもしれないですが(笑)。

「キスがうまいだけ」 も、臼田あさ美が石橋杏奈を喰った印象。あの「私も一度体験してみたい」顔は、臼田様がやることでグッと来ました。

「あうんの呼吸」 は、大喜利のようなコントで、どう転んでも自分は笑ってます。「カルボうどん」は、なるほどなー、って感じ。

「テツオの数奇な運命」

は、いよいよシリーズ化を狙ってくるような兆し。ただ、「鉄仮面を被ってる男」っていう初期設定が、自分の中でまだ笑いに変わってないんですよね。自分が追いついていないうちに、どんどん新キャラが出てきそう。

「何かあったな」

は、社会派コント。あの空気感は現在のウッチャンだからこそ出せる。地味に笑ったのが、番組のごまかし方。「コメンテーターの似顔絵が届く」って。

「突き詰めると」

は、妄想系のおしゃべりコントでしょうか。ただ、最初の問題提起(給食室から火事が起きるのは、給食のおばちゃんに失礼じゃないか)は割と納得してしまいました(笑)。さまぁ〜ずファンとしては、ここに大竹が入ったらどうなるんだろう、と気にしがち。

「店じまい」

は、最後の「思い出があるの、こっち側だけだったのかな」という星野源のセリフが要らなかったんじゃないかな、とも思いつつ。それにしても、メシ絡みのコントが多いように感じるのは気のせいでしょうか。LIFE的な笑いが起こりやすい設定なのかしら。


高橋維新さんのDIS記事が一番の人気記事になってしまって、焦っています。一応、もっと良い記事もあると思うのですが(たとえば音楽好きなら全員にこちらの記事はチェックしてほしい)、やっぱり「レコメンド」より「ディス」のほうがお好きですよね(笑)。

それはともかく。miwaをレコメンドする記事を書いているときに、「最近のJ-POPをちゃんと追ってなかったなー」と思いまして、久しぶりにオリコンをチェックしたら、これがなかなか面白かったのです。

アイドルと声優だけがCDを売るようになって、もう10年ほどは経つでしょうか。たとえば今週(2015年7月13〜19日)のシングル売上のトップ3は、NMB48、μ’s、DOBERMAN INFINITYと、見事に「女性アイドル、声優、男性アイドル」となっています。

昔は「オリコンで1位を取るからには、なんだかんだで魅力のある曲なのだ」と言われていましたが、そろそろそういった性善説も通用しないことは明らかです(DOBERMAN INFINITYの曲はちょっと良かった)。

とはいえ、それが極端に「オリコンは終わった」とか「CDは死んだ」ともならないところは日本の侘び寂びってやつでしょうか(笑)。具体的に言うと、

オリコン11位から一気に面白くなります。 以下、ダラダラと紹介してみましょう。

たとえば今週の11位は、この日記のテーゼを体現するかのようなアーティストです。 SKY-HI の「Seaside Bound」

EDM(とドラムン)を上手く処理したトラックに、ビジュアル系からインスパイアされているようなSKY-HIらしいラップが乗っています。低音を削りとったスネアが気持ち良い。SKY-HIのラップって、最初はILMARIのような「発音良い」系だと思っていたのですが、実際のところはクセの強い、口が面白い開き方をするような歌唱じゃないですか?

13位には Little Glee Monster「人生は一度きり/ガオガオ・オールスター」も入っています。着実に「そっちじゃなかった!」って方向に突っ走っていますが、デビューシングルは本当に良かったのでまだまだ要チェック。

18位は Ken Yokoyama の「I Won’t Turn Off My Radio」。こういうロックは大体嫌いですが、これはメロディがちょっとかわいくて好き。

20位は 大森靖子 の「マジックミラー」。曲はどんどん興味無い方向に進んでいますが、歌詞はやっぱり面白い。「あたしアナウンサーになれない 」から始まるとか、ちょっと才能ありすぎますよね。 25位は ミライスカート のデビュー曲「COSMOsSPLASH」。この「もうお腹いっぱいだよ!」のagehaspring感と5万ぐらいで撮影したようなMVが相俟って、なんとも言えない出来になっています。「ウラ笑い」する好事家ならハマるかもしれません。

50位はAldiousの「die for you/Dearly/Believe Myself」。2015年にもこういうガールズバンドがいて安心します。どうか良い曲を作って売れてほしい。

ちなみに、実はウソも吐いています。 夢見るアドレセンス 「サマーヌード・アドレセンス」はオリコン7位ですが、十分に面白さのある曲でした。本作は「サマーヌード」をリコンストラクションしているのですが、メロディの引用具合がちょうど良い。あと、歌詞が素晴らしいですよね。「すべてを全部」とか、ちょっとさまぁ〜ず感がある(笑)。

僕ら今 はしゃすぎてる そんなふりして 新しい誰かと 手と手をつないで 夏がはじまる 大好きだった君のことさえ 忘れちゃうんだ もう二度と戻れない
あの日の僕らのすべてを 全部 君のせいにして

最後に、これは本音と冗談キッチリ半分ずつで書きますが。なぜか Takamiy a.k.a 高見沢俊彦(from THE ALFEE)の「誘惑の太陽」が一番の名曲だったりする。日本の陽射しというのは、我々を狂わす程度には強いことがよく分かります。


レコメン度:★★★☆☆

miwa『ONENESS』は、一部のファンだけが楽しむには、ちょっともったいないアルバムです。

全体的に軽さはある。しかし…

「音楽好きあるある」として、TSUTAYA渋谷店がレンタル半額を行う度に50枚ちかくアルバムを借りる、というのがあります。

ご多分に漏れず、コボリも同じタイプでして、前回のレンタルではmiwaを入れていました。何を隠そう、 「Faraway」 がものすごい好きだったんです。

(ギターがmiwaを弾いてもいいぐらいの、同じサイズ感。) 前作の3rdアルバム 『Delight』 もちょっと良かったんですよね。miwa自身、このアルバムに収録されている 「ヒカリへ」 で売れました。渋谷の複合商業施設がオープンした頃の曲です(関係ないけど)。 (ルックスで勝負しやがって!)

そんなmiwaさんの音楽が持っている一番の魅力は、 「シンガーソングライター」でありながら「品のある雑食性」や「適度な拘りのなさ」を持っている ところです。

たとえば、miwaの曲はギターやバンドの音だけで作られているものは少なく、打ち込みも多く入っています。また、「シンガーソングライター」でありつつも、『ONENESS』の作曲は_Naoki-T_ (※1)との曲作である場合がほとんどです。さらには、今や当たり前ですが、ボーカル補正もガッツリあります。

これらを悪い見方から批評すれば、「ロック感が無い」とか「シンガーソングライターとしての矜持が感じられない」となります。また、「打ち込み(≒EDM)として物足りない」という感想もあるでしょう。

しかし、本作『ONENESS』ではそれらが全て 「ポップで素晴らしい!」 の一言に集約されます。 (※1)Naoki-Tは、ケツメイシの『さくら』以降のアレンジや、FUNKY MONKEY BABYSのアレンジを手がけているトラックメイカーです。って聞くと、「ああなるほどねー」というお友達もいるはず。この人、とにかく夏の曲が上手い!(笑)

ボーカルの「弱さ」を引き立てる中低域の使い方に脱帽

しかし、何故「ポップ」だと感じるのでしょうか。それはmiwa自身のボーカルの 「弱さ」 にある、とコボリは考えています。

miwaのファンクラブは「yaneura-no-neko」と言うらしい。憎さ余って可愛さ百倍。

控えめに言って、miwaは声量のある力強いボーカルでは全くありません。反対に、少しでも風が吹いたらかき消されてしまいそうな声です。正直、ファーストインプレッションは笑ったのを覚えています。

しかし、欠点もあるけれど旨みのある食材であれば、大事なのはどう料理するかです。この点で、Naoki-Tは素晴らしい料理人でした。miwaの「可愛さ」や「誠実さ/真っ直ぐさ(miwaはビブラートをあまり強くかけません)」がちゃんと分かるようなプロデュースをしました。

とくに関心したのは、 中低域(ここでは300〜700kHzあたり)の音の使い方 です。この音域は、「パワー」とか「力強さ」みたいな印象に関わり、人間の声はこの音域をたくさん含んでいます。

たとえば想像上のロック音楽は、この音域に全部の楽器が入っていてパワーを生み出すような印象があります。たまに膨張して聴きづらいときもあるほどです。

で、miwaの音楽は、 この音域を出来る限りボーカルに割いている ように聴こえるんです。他の楽器がこのスペースに入ったら、miwaの声の良さはすぐに消えてしまうから。

逆に言うと、ボーカル以外は中低域を削ることになるので、それがmiwaの音楽につきまとう「軽さ」の原因でもあると思います。たとえば、ラッパの音を生音にしたら、ラッパがmiwaに勝つ可能性があります。それならシンセでやったほうが正解です。

そうして全面に出てきたmiwaのボーカルが、楽曲を、アルバム全体を、ポップに華やぐものにしているのだと感じました。

けっきょく、可愛い。

という感じで、意外とmiwaが良いよ、という話でした。ちなみに、『ONENESS』の推し曲は「Faraway」や「恋の予感」。アルバム曲で言うと、「フィロソフィー」、「super heroine」です。 とくに「super heroine」は、 曲こそ退屈 ですが、安室ちゃんの「Baby Don’t Cry」に近いような感動がありました。アイドル的扱いを受けつつも、こういう曲を書けるmiwaさんが好きです。 あと、飯窪さんに似てて可愛い。

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